老後の人間関係を充実させるために「善意でもやるべきではない」こととは?
「おごらない」「おごられない」地域の人間関係の鉄則
退職してから地域の交流が生まれると、ふと道ですれ違ったり、商店街でばったり顔を合わせたりすることが多くなります。毎日の生活の場で「やあ、こんにちは」と笑顔で挨拶を交わせる人ができるのは、こんなにも楽しいことだったのかと気づきます。職場でもない、親戚でもない。とくに上下関係もなければ、義理もしがらみもないことも、地域付き合いのすばらしいところ。 それだけに、この付き合いには「お金の関係」を持ち込まないことが大事です。はっきり言えば、おごったりおごられたりは原則としてしないこと。「お茶代くらい私に任せてくださいよ」などと、すぐに財布を取り出す人がいるのですが、注意すべきです。 老後の経済事情は人それぞれ。何人分かの喫茶店代くらい何でもない人もいるでしょう。それに相手のためにというより、人に気前よくふるまえる自分に満足感を覚えたい心理もあるのです。 しかし、どんなに少額でも、おごられたほうには気持ちの負担が残ります。なかには罪悪感や恥ずかしいと感じる人もいるでしょう。おごってもらったら「単純にうれしい」人ばかりではないのです。それが次第に積もっていけば......。次に会うのが、だんだん気まずくなってしまうのも分かるような気がしますね。 同様に「いただきものがあって、夫婦二人では食べきれないから」などと言って、立派な箱入りのお菓子などを持参するようなことも控えましょう。いただきものなどあまりない人もいるかもしれないから、です。 さらに「この間、疲れやすいと言っていたから、ニンニクの黒酢漬けを買ってきたの。よく効くから試してみて」などと、相手に頼まれもしないのに何かをあげることも控えるべきです。旅行のおみやげとはわけが違います。 いくら厚意のつもりで、悪気のないことが分かってはいても、相手にとっては「うっかり口を滑らせたばかりに気を遣わせた」と自分を責めることにもなりかねませんし、その品物もかえって「ありがた迷惑」になる場合だって考えられます。 とくに義理もしがらみもないからこそ、地域の人間関係では出すぎないことがいちばんの要点なのです。年配の人ほど気を遣うので「出すぎず、入り込みすぎず」を鉄則にするようにしましょう。