『虎に翼』小橋「そう、分かる」の真意は? 寅子が頭を抱えた男子生徒の“素朴な疑問”
星家で暮らし始めることになった寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)。しかし、早くも寅子と朋一(井上祐貴)、のどか(尾碕真花)の間で軋轢が生まれる。2人との関係を寅子はどうしていくのか。『虎に翼』(NHK総合)第107話では、家族の問題に改めて向き合う。 【写真】「女は好きで働いてる」に呆気にとられた表情の秋山(渡邉美穂)と寅子(伊藤沙莉) のどかの「寝に帰るだけの場所に、お父さんがいてもいなくてもいい」という言葉に頭を悩ませる航一(岡田将生)。子どもたちと家族らしくなるために2人に歩み寄ることを決めたが、なかなかうまくいかない現実を知った航一は寅子に悩みを打ち明ける。憔悴する航一に、寅子は柄にも合わず「ちちんぷいぷい」と魔法をかけ航一を励ますのだった。寅子のまさかの行動に放心する航一。そのやり取りは新婚夫婦そのもので、実に微笑ましい。寅子が部屋から出た後に、航一は寅子の「ちちんぷいぷい」というセリフを思い出し、これまで見せたことのない笑みを浮かべていたが、航一がここまで満面の笑みを見せたのはいつぶりだろうか。おそらく初めてではないか。 数日後、中学生になった優未の入学式の日がやってきた。星家に花江(森田望智)も駆けつけ、家族揃って記念写真を撮ることに。優未の新たな学校生活のスタートに心を踊らせる寅子と航一だが、気になるのは朋一がふと見せた表情だ。航一が優未と手を繋いだときに、朋一は複雑な表情で見つめていた。表面上は航一に対して突き放した態度を取ってはいるが、内心は嫉妬しているのかもしれない。 一方で、花江は玲美(菊池和澄)との同居で頭を抱えていた。花江は家庭の味を受け継ぐために、はる(石田ゆり子)に味付けの確認をしていたが、玲美は自己完結してしまうらしい。それに加えて、高校卒業後にダンスホール勤務をしながらサックス演奏を続けている直治(今井悠貴)の進路でも頭がいっぱいだ。いつになっても悩みが絶えない花江の心労は計り知れない。
そんな中、直明(三山凌輝)の頼みで、法律に興味のある学生を集めた勉強会が開かれることになった。小橋(名村辰)、稲垣(松川尚瑠輝)、秋山(渡邉美穂)も手伝いに駆けつけるが、集まった生徒は男子2人、女子1人だけ。「民事部ではどんな事件を扱うのか?」という女子生徒の質問に、寅子はバスに乗る際にケガを負った男性が、バス会社と女性車掌を訴えた事件を紹介する。「それって車掌が男性だったら起こらなかった事件ということですか?」という女子生徒の言葉に、寅子はそこまでは明言できないとしつつも、女性の社会進出で起きる問題の可能性について語ると、男子生徒の1人が「でも、好きで働いてるんでしょ、女は」「男は絶対働いて家族を養わなきゃいけないけど、女は違う。自分で働くことを選んだのに、なんで文句を言うの」と素朴な疑問を投げかける。日本国憲法のもとに生まれた学生とは思えない発言に頭を抱える寅子。「はて?」というよりも、「この学生は何を言ってるんだろう?」という表情にも見えた。 男子生徒の言葉に共感していたのが隣で聞いていた小橋。「そう、分かる」という言葉の真意とは一体……。そして、男子生徒の素朴な疑問に対する適切な答えを寅子は導き出すことはできるのか。ここは寅子の腕の見せどころだ。
川崎龍也