ブックオフで「架空買い取り」横行か… 一部店舗で休業、北海道では3200万円所在不明で店長が失踪
車への積み込みを偽装、スタッフが手薄な時間を狙う?
調査委員会は、店舗Aの人員配置上、店舗内にパート勤務の従業員しかいない時間帯もあったと指摘。パート従業員はタブレットを用いた細かい業務内容をすべて把握しているわけではないことから、その時間帯を狙って架空買い取りの操作をタブレットで行うことも可能だったとした。 店長Bが店舗内の商品を無断で持ち去ったことについては、店舗内のスタッフ数が手薄になる時間を狙い、駐車場の顧客の車へ積み込みを装い実行できたと見解を示した。持ち去った商品は、具体的に店舗Aで陳列し、販売している商品のほか、買い取り後にカウンターの中で一時保管している商品、店舗のバックヤードや倉庫に保管している商品だった。入念に準備を重ねた末の行為だったことは、明らかだろう。 なお、今年5月末にはブックオフを除いたすべての店舗を対象として臨時棚卸しを実施。特段の問題はなかったとし、正社員161人、パート従業員449人を対象にアンケート調査を行ったが、架空買い取り行為を認識している社員はいなかったとしている。 報告書では、原因の分析も行っている。調査委員会が検証した結果、以下のような原因が考えられるとした。 (1)買い取り時のルール・チェック体制の不備 (2)棚卸し時のルール・チェック体制の不備 (3)その他の内部統制上の不備 (4)コンプライアンス意識等の不足 そのうえで、再発防止策として(1)~(4)の体制構築に加え、内部監査体制強化、不正防止に向けたシステム改修などを提言した。
国内外のすべての店舗で臨時の棚卸しを実施する予定
本稿記者の取材に応じたエコノスの担当者は本件について、「調査委員会が発表している報告書以外のことは何もお答えできない」とコメント。ブックオフの担当者も取材に応じ、「今開示できる事項は、7月1日までに棚卸しを実施することくらい。細かい点は調査中」と回答した。 ブックオフの担当者が言う通り、事態を受けて一部のブックオフ店舗では6月27日から休業、棚卸しを実施するという。また、ブックオフが6月25日に出したプレスリリースでも、今後、国内外のすべての店舗で臨時の実地棚卸しを実施する予定としている。 1990年に神奈川県相模原市でブックオフの直営第1号店、93年にはハードオフ1号店「新潟紫竹山店」がオープンしているが、同じ系列店ではなく別の会社であることは、一度確認しておきたい。今や日常生活の風景の一部として当たり前の存在となった両店。ひとまずは、調査結果の続報を待ちたいところだ。
小林 英介