あえてのアナログ…雲を観察して天気を予測 高校の科学部「雲班」雲の組み合わせに規則性」発見【福岡発】
毎年のように各地で発生する線状降水帯や大雨災害。命にかかわる危険な気象災害からいかに身を守るか?毎日、空を見上げ、雲を撮影し続けた高校生たちが、膨大な画像データから「雲の組み合わせの規則性」を発見し、天気予測に繋げることに成功。大きな注目を集めている。 【画像】雲の写真分析で天気予測に成功「雲班」
雲を観察し天気を予測する「雲班」
福岡市の福岡工業大学附属城東高校。校舎の屋上では、女子生徒たちが設置された魚眼カメラをチェックしている。彼女たちが所属している部活動は「科学部・雲班」。現在4人が在籍している。 雲をひたすら観察する雲班は、部活の中でもかなりユニークな存在だ。この日、部員が確認していた作業は、自動で15分ごとに空全体の様子を撮影するカメラの動作。雲班はその名のとおり生活に身近な雲の形や厚さ、並び方を見て、天気を予測する研究を行っている。 具体的には「大きく10種類の雲の分類と、さらに細かい分類の組み合わせから天気予測できないかを調べている」と2年生の部員、刀根佳子さんが説明してくれた。
雲の写真分析6年間で40万枚以上
研究のため雲班が撮影した写真はこれまでに40万枚以上。部員たちが6年間、コツコツと地道に研究を重ねた結果、遂に雲の組み合わせの規則性を発見し、天気の予測に繋げることに成功したという。 研究結果は2024年8月、文化部のインターハイと呼ばれる全国高等学校総合文化祭の「自然科学部門」で高く評価され、最優秀賞にあたる文部科学大臣賞を受賞した。刀根さんは「今までの研究が実を結んでくれたというのが嬉しかった」と最高の賞に輝いた成果に胸を張った。 気象予報士が観測データなどを基に行う一般的な天気予報とは違い、雲班による気象予測は「雲の形」など視覚的な‟アナログ情報”だけを手掛かりにする。なぜなのか?科学部顧問の副島英子教諭は「災害時でもインターネットが無い環境でも自分たちで、空をぱっと見て雨が来る来ないかくらいは分かったらいいなというところから始めた」と研究のきっかけを話す。