阪神“サイン盗み疑惑”の真相は…「やるわけないやろ。ボケ!」暴言飛ばした矢野監督と男をあげた21歳“侍戦士”村上宗隆
阪神にとっては首位陥落の危機の試合だった。消化試合数の関係でゲーム差は「1.5」あったが阪神が負けて巨人が勝てば1、2位がひっくり返る状況だった。 不振の大山悠輔を7番に下げ勝負手を打った9連戦の初戦。何が何でも勝ちたい試合で矢野監督の神経もいら立っていたのかもしれないが、4-0でリードしていた試合である。しかも新型コロナ対策で人数制限がかかる中神宮に駆けつけたファンは、時折小雨が降るような悪コンディションに耐えて懸命に拍手で応援しているのである。無駄な抗議で試合を遅らせた行為も、まったくいただけない。「首位を走る監督が行う所作ではない」と批判されても仕方がないだろう。 一方、今回の騒動で男を上げたのが21歳の村上だ。罵声を浴びせる阪神ベンチに堂々と向かっていった態度と、近本の疑惑行為を冷静にチェックしていた、その観察力を称える声がある。 高代氏も「左投手で左打者。しかも、二塁走者が近本だからスキを見て三塁を盗みにくる可能性があり、三塁手は二塁走者の動きに注意を払うべき場面ではあるが、村上は視野を広げて、よく見ていた。審判にアピールするのも当然の行為。その前に田口がマルテに四球を与えたところでも、すぐにマウンドに行き間を作った。彼の成長が見えるシーンだった」と評価した。 東京五輪で金メダルを狙う侍ジャパンに村上を選んだ稲葉監督も、「投手を励ましたり、立ち振る舞いに成長を感じる」との抜擢理由を口にしていた。 阪神は7番に下がった大山の3回の先制9号ソロに始まり、4回には、佐藤のフェンス直撃のタイムリー二塁打などで3点を追加。守っては、ヤクルトキラーの青柳晃洋が、ヤクルト打線を8回5安打無失点に抑えこんで8勝目をマークして5-1で快勝した。 中日戦を戦った巨人は、先発のサンチェスから高梨雄平への継投に失敗して1点のリードを守れず2-3で逆転負けを喫した。阪神と巨人のゲーム差は「2.5」に広がったが、首位陥落を逃れた安堵感よりも後味の悪さの残る試合だった。