阪神“サイン盗み疑惑”の真相は…「やるわけないやろ。ボケ!」暴言飛ばした矢野監督と男をあげた21歳“侍戦士”村上宗隆
昨年まで阪神のコーチを7年間務め、相手チームのブロックサインの分析、クセの解明などの細かい野球の攻防に詳しい評論家の高代延博氏は、「あれはサイン盗みではないし、ミットの構えの位置を佐藤に教える伝達行為ではなかったと思う。今はルールで禁止されている。そんなあからさまな違反行為を近本がやるわけがないし、ベンチがやらせるはずがない。少年野球でもやらない。まして現代のプロ野球ではできないし、やりませんよ」と断言した。 高代氏が指摘するようにセ・リーグのアグリーメントでは「ベンチ内、ベースコーチ、走者から、打者あるいは塁上の走者に対して球種等の伝達は行わない」との申し合わせ事項がある。 だが、近本の動きは明らかにおかしかった。ちょうどキャッチャーがミットをインハイに構えたタイミングで、佐藤にミットの位置を教えるジェスチャーに見える。 では、それが目的でなかったとすれば、いったなぜ近本は左手で不自然な動きをしたのか。ことの真相は、近本に聞くしかないが、高代氏は、こんな推測をした。 「おそらく二塁へ帰塁する場合に備えて、手から滑り込む距離感をつかもうとしたのだろう。まだ近本はプロ3年目。アマチュア時代のクセが抜けきっていないのかもしれない。間違いなくサイン盗みではないが、ただ紛らわしい行為であることは事実。首位を走っている阪神のレギュラーがやるべき動きではない。ここはチームとして教育、周知を徹底しておかねばならないことだと思う」 矢野監督は村上に指摘されて異様なまでに激高した。 関西弁での「アホ、ボケ」は侮辱の意味は薄い一種の修飾語ではあるが、その“抗体”のない人には暴言に聞こえる。指揮官が「ボケ」という品のない暴言を飛ばすべきではないし、まして組織のトップが先陣を切るべき行為ではない。これは「チーム一丸で戦う」「監督が選手を守る」という次元のものではない。闘争心を履き違えてはならない。 高津監督につっかかって揉める前に疑惑を招くような動きをした近本にルールを周知徹底できていなかった自らの指導力を恥じるべきだろう。むしろ村上の指摘とヤクルトベンチの怒りの声も当然である。本来、怒るべきは矢野監督ではなく近本に疑惑の動きをされた高津監督の側である。名将と呼ばれた故・野村克也氏が同じような場面で声を荒げて怒鳴るだろうか。巨人の原監督が、そんな態度を見せて罵声を発するだろうか。子供たちにお手本を見せ、夢を語らねばならない人間がするべき行為だろうか。