【心療内科医が解説】嫌なこと・不安な気持ちを「サッパリ洗い流す」すごい方法
● 評価されることを「目的」にすると 幸せになれない 一方でユーダイモニアとは、途中に困難や苦難があっても、自分が何かに打ち込み成長した時に感じられる幸せです。例えば何かの創作活動をした時に、それでお金が得られればもちろんうれしい。けれども自分が苦労して、一生懸命作ったものであれば、それができあがった時の充実感はすばらしいものがありますよね。こういったユーダイモニアの幸福感は自分の中で長く続くとされています。 というと、ヘドニアが悪いもののように感じるかもしれませんが、そんなことはありません。ヘドニアの幸せも、疲れきった心身を癒やし、再び意欲的に取り組む力を得るために必要なもの。ただし、現代ではヘドニアの幸せが全てで、そこからしか幸せが見つけられない人が多いと感じます。 「一生懸命やっているのに認められない」と嘆くビジネスパーソンがいますが、認められたり褒められたり、評価されたりということは本来は副産物であったほうがいい。もちろん「褒められなくてもいい」なんて思う人はいませんから、評価されたい気持ちはよくわかります。 ただ、評価を「目的」にしてしまうと、幸せになれません。評価されるために何かをするということは、自分を失くす行為だからです。 ● 昨年より少し進歩したと思えることが 最大の幸福につながる 最近読んだ本の中に、小説家で思想家のレフ・トルストイが選んだ言葉ということで、こんな記述がありました。 〈一年が終わる時の12月31日の喜びというのは、昨年の自分よりも今日の自分のほうが少し進歩したなと自分の中で思えること〉と。これこそ、ユーダイモニア的幸福だと思います。昨年より年収がアップしていればそれはうれしいですよね。でも、それ以上の幸せは自己の成長なのです。 自分がクリエイトしたこと、興味を持って勉強したこと、何か表現したことで成長を感じられることはないでしょうか。そうして自分が歩んだ道に「成長の証し」を見つけていくことが、最大の幸福につながるのです。
海原純子