「世界が注目する“アメリカ雇用統計”と“自民党総裁選”の気になる政策」愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰が解説
◆富裕層への課税強化は“大した額にはならない”?
やしろ:新たな税収を確保するために富裕層、いわゆる高額所得者に対する課税を強化する方法も選択肢の1つだと思うのですが、いかがでしょうか。 宗正:足りない分は、富裕層に納めてもらう。実はこれって、過去から検討されてきてはいるんです。「1億円の壁」という単語があります。所得が増えれば増えるほど、累進課税で所得税率は上がりますよね。ところが合計所得が1億円を超えると、そこをピークに今度は逆に税金の負担率は下がっていく、そんな傾向があります。 ちなみに累進課税はどれくらい凄いのか、課税所得4,000万円以上の富裕層で最大税率45%。そこに住民税の10%が加わりますから、最大で55%の課税。「結局は税金で半分持っていかれるけどね」なんて言っている人がいますよね。決して大げさな話ではなくて、あれは事実なんですよ。 やしろ:すごく取られているなという感じはします。でも、ちゃんとお金を持っている人から取ってくれているな、という気もします。 宗正:今の発言、世のお金持ちを敵に回しましたね(笑)。 やしろ:本当ですよね(笑)。でも個人的な意見ですけれど、お金を1億2億、それ以上稼いでいる方が少しだけ多く払ってくれて楽になる人が増えるんだったら、それが良いなと思っちゃいます。 宗正:そういう検討も過去にはされてきました。ところが今お話ししたように、合計所得1億円をピークに、税金の負担率が下がる傾向があります。なぜかと言えば、この国の富裕層・お金持ちは、株式投資などの金融所得の割合が高いからなんです。株式投資で得た収益には、先程お話したように20.315%しか課税されない。 超富裕層を対象にした増税策も検討されてはきましたが、この国の全体人口に占める超富裕層の割合はそこまで高くない。だから彼らに重税を課しても、結局、税収全体に占めるインパクトは大した額じゃなかった。 「じゃあ、どこから?」となると、結局は人口の一番厚いところから税収を確保という政策にどうしてもなってしまたのが、ここまでの流れなんですよね。 やしろ:もうちょっと世の中って、上手くお金を回せたりしないのかな? と思いますが難しい問題なんですね。 宗正:そうですね。たった1つの政策の中にも、そこから生まれる課題や自分自身への影響って、今のような考え方をしていけばかなり拡がります。そうなった時に、どうすれば対処できるのか? という、特に生活設計や人生計画を普段から考えておく必要があると思いますね。 やしろ:ありがとうございます。ということで「宗正彰の愛と経済と宗さまと」、AuDeeにて、毎月10日20日30日に配信でございます。 (TOKYO FM「Skyrocket Company」2024年9月11日(水)放送より)