「世界が注目する“アメリカ雇用統計”と“自民党総裁選”の気になる政策」愛と経済の伝道師“宗さま”こと宗正彰が解説
◆総裁選では「金融所得課税の強化」を訴える候補者も
やしろ:そして国内では自民党の総裁選の候補者も出揃い、いよいよ盛り上がってきました。候補者が訴える政策で、宗さま的に気になるものはありますでしょうか。 宗正:金融所得課税に関わる政策ですね。「金融所得課税? そんな税金払ってないよ」という人も多いかと思いますが、実はほとんどの人が払っているんですよ。例えば銀行預金。預金も利息が付くと課税されていて、実は税金を払っています。自動的に引かれるので気付きにくいだけです。 やしろ:株や投資信託などの投資収益にかかるものとは違うのでしょうか? 宗正:投資対象は異なっていても、金融商品から得た所得にかかる税金のことを金融所得課税といいます。これが一律20.315%。株も投資信託も預金も、収益の約5分の1を税金として納めています。 やしろ:金融所得課税が仮に強化された場合には、どのような影響があるのでしょうか。 宗正:今回の自民党総裁選では、「金融所得課税を強化する」という候補者と、「いやいや、まだそれは早いんじゃないか、逆効果になって税収を減らしてしまうのでは」という意見の候補者がいます。 課税強化は、現在の20.315%からさらに税率を引き上げることを意味します。そして強化された場合にはどのようなことが起きるかというと、外国人投資家は日本の株式市場に投資しなくなってしまうでしょうね。株式をたくさん持っている日本の富裕層が、もっと税率の低い諸外国に出て行ってしまう可能性もあります。 ちなみに現職の岸田総理も、今から3年前の2021年10月の総裁選では、「金融所得課税の強化」を打ち出していました。ところが岸田総理の当選が確実視された途端、日経平均株価は6日間で約1,800円も下がってしまった。今は株価が日々大きく乱高下しているので「6日間で1,800円って大したことないじゃん」と思う人もいるかもしれませんが、当時は大きかった。それだけマーケットにマイナスのインパクトを与えてしまったので、結局、岸田総理は在任中に手をつけなかったんですよね。 やしろ:一方で政府からは投資をどんどん、私たちに推奨するような発言や動きもありました。新NISAも始まりましたし、このタイミングで投資を始めた方も多いと思います。そうした方たちにとっては、総裁選で総理が変わって、急に税率が上がるっていうことも可能性としてはあるということですよね。 宗正:あり得ますよね。ただ、この国は少子高齢化がどんどん進んでいます。生産年齢人口は減り続けて、社会保障費は増えていくわけですよ。つまり、何らかの税収を増やす必要があります。