「またトラ」リスクは今冬から始まる「トランプ四季報」で準備せよ
■「またトラ」リスクは「春・夏・秋・冬」で迎え撃つ ただしアメリカの政治日程を考えれば、ある程度の順序は見通すことができる。「またトラ」リスクをカレンダーで捉えて、「春・夏・秋・冬」の『会社四季報』のように迎え撃つことを考えてみよう。それだけで少しは「怖さ」が変わってくるはずだ。 最初はこの「冬」。すでに顕在化しつつある「気候変動問題」に関するリスクだ。今月はアゼルバイジャンで国連気候変動会議、COP29が開催された。途上国のための温暖化防止資金を討議することが主要テーマだったが、世界最大の経済大国で、CO2排出量第2位のアメリカが、来年にはパリ協定を再離脱するかもしれない。
各国は来年2月に温暖化ガスの排出削減目標を申告することになっているが、このままでは「脱炭素」に対する機運が失速することになりかねない。これが最初の「またトラ」リスクとなる。 筆者は、「脱炭素」の動きがこれで頓挫するとは考えていない。アメリカは再びパリ協定を抜けるだろうが、トランプ氏も国連気候変動枠組み条約を抜けるとまでは言っていない。そしてアメリカ国内では、州政府やNGO、そして企業など「サブ・ナショナル・アクターズ」が独自に気候変動対策を実施している。バイデン政権が行ってきた「インフレ抑制法」(IRA)による脱炭素事業も、共和党州で行われているものが多いので、トランプ政権下になってもほとんどそのまま実施されるとみる。
他方では、金融がらみの「脱炭素」の仕組みが気になるところだ。すでにテキサス州やフロリダ州などの共和党州では「反ESG法」が成立している。「意識高い系」(Woke)な投資は許さない、ということで、いわばアメリカ国内の政治的分断が影を落としている形。この動きは今後4年間で加速するだろう。 ■「春」は不法移民問題、「夏」は通商問題がネックに お次は「春」のリスクだ。 年明け1月20日には第2期トランプ政権が発足する。新政権にとって大事なのは、「最初の100日」だと言われる。政権発足から100日目にあたる4月末を睨んで、次期政権が最初に取り組む課題は何だろう。