始まりは3足から、1400万足売れるブランドに。環境にも人にも優しいスニーカーブランド「VEJA」の信念とは?
今年で創業20年を迎えたフランス発のスニーカーブランド「VEJA(ヴェジャ)」。高いデザイン性と環境に配慮したものづくりに定評があり、海外セレブたちからも支持されるブランドです。そんなVEJAの魅力を探るべく、パリにある本社を訪ねました。 【写真】フランス発のサステナブルなスニーカーブランド「VEJA」の本社を取材!
築100年以上の建物を活用した「VEJA」の本社
パリ10区にあるVEJAのオフィス。5階建て・4200 平方メートルの白を基調とした都会的な空間、100年前はフランス共産党の印刷所、2000年代は広告代理店として使われていた建物なのだそう。中央が吹き抜けになったオープンスペースも素敵。こちらで約300名近いスタッフが働いているそう。 ソファなどの家具はすべてヴィンテージで蚤の市などで買ってきたもの、ラグは再生プラスチック素材のものを使用していたりと、オフィス作りも環境に配慮したこだわりが散りばめられていました。ここはミーティングやイベントを行う空間にもなり、ファッションウィークにちなんだコンサートも行われたこともあるそう。
銀行員からスニーカー業界へ幼なじみとVEJAを立ち上げ
本社では創業者のひとり、セバスチャン・コップ氏にお話を伺いました。 「友人であるフランソワ・ギラン・モリィヨン氏と2人でVEJAを立ち上げたのは2004年、25歳のとき。元々銀行で働いていたのでスニーカー業界での経験はありませんでした。スニーカーには素人でしたが、流行が始まる前の誰もまだ履いていないスニーカーを探したいタイプでした。さまざまなブランドのスニーカーがどのように作られているか調べると、素材、環境、労働条件について配慮されていないことが分かりました。そこで“人間と環境を守るスニーカーを作ること”を目標にVEJAを立ち上げました」 ブランドを始めるにあたり、特にこだわったのは素材選び。オーガニックコットンや天然ゴムなど、スニーカーに使用する素材の調達には、素材を作る人の権利と環境を守ることを最優先にしてきたそう。 「まずブラジルで家族経営しているオーガニックコットンの生産農家をたずねました。コットンには多くの農薬や飼料が使われていますが、オーガニックコットンは人にも環境にも優しいと知った。でも訪ねた生産農家は、生計を立てるのがギリギリという感じだった。そこで値段交渉の際に、農家の方がきちんと生計を立てられるよう、市場の2倍の額を提示しました」 「スニーカーのソールにはプラスチックが多く使われていますが、VEJAでは天然素材を使いたかった。そのとき出会ったのがアマゾンの熱帯雨林にある天然ゴムの生産農家。ただこちらも天然ゴムの生産だけでは生計が成り立たず、森林伐採して農作も行っていて、天然ゴム1本で生計が成り立てば森を守ることにもつながると思いました。今では約2500の生産農家と取引をしています」