「ライフキャリア」　離職期間の活動に評価の動き

キャリアブレイク研究所の北野貴大代表理事

　「キャリアブレイクを取る人は少なくない」と話すのはキャリアブレイク研究所（神戸市）の北野貴大代表理事（35）だ。新卒一括採用や終身雇用の慣行が残る一方、企業側にもキャリアブレイク中の活動を評価する動きもあるという。 　北野さんによると、キャリアブレイクは、欧米では一般的という。国内では「キャリア」を「職歴」の意味で捉えがちだが、北野さんは「会社に所属している期間だけがキャリアじゃない。ライフキャリアという意味では人生に空白はない」と強調する。 　厚生労働省の2020年の転職者実態調査によると、転職した人のうち約4割は1カ月以上の離職期間があった。同年の総務省の調査では、転職者数は約320万人。北野さんは二つの調査結果から、約147万人が1カ月以上離職したと推計し「休職者も含めれば、キャリアブレイク期間をとっている人はもっといる」とする。 　北野さんによると、長期の離職期間を「ブランク（空白）」と見なして評価を下げる企業が半数程度あるとみるが、逆にその期間の学び直しや活動を評価するところもある。近年、長く勤めた社員が長期休暇を取得できる制度や、一度退職した人を再雇用する「アルムナイ制度」を設ける企業も出てきている。 　北野さんは「『ブレイク』には『壊す』という意味もある」と説明。「自分の足かせになっている価値観を壊し、自分のミッションや社会に対する問いを持っている人はむしろパワーがありますよ」と話している。