職を離れて学び直しやスキルアップ 履歴書の空白にポジティブ、「キャリアブレイク」で充実の人生
一時的に離職や休職する「キャリアブレイク」。履歴書の空白をネガティブなものでなく、いい転機とする考え方が広がっている。職を離れた時間に学び直しやスキルアップ、働き方を見つめ直すなどして人生を充実させるという。 【画像】キャリアブレイク中の皆さん 岡山市北区の中嶋佳乃子さん(48)は2020年、20年余り勤めていた大手通信教育会社を辞めた。資格取得などに励み、現在は起業して企業向けの研修講師をしている。 大学卒業後に就職し、課長まで昇進した。しかし、さらに上の役職を狙いながら定年まで勤めるという会社員生活に「わくわくしなかった」と中嶋さん。「将来に向けた投資になる」と信じて最長2年と期限を決め、会社を辞めたという。 キャリアブレイク中は、幅広い分野の読書をしたり整理収納術やキャリアコンサルタントなどの資格を取得したり。学生時代の夢だった教職にも高校の非常勤講師として携わったほか、企業のイベントで司会業にも挑戦した。その中で「自分の経験や知識を人と共有する仕事をしたい」と改めて気付いたという。 22年には会社を立ち上げた。まだ会社員時代の収入には届かないが「自分の裁量で仕事ができる充実した日々」という。キャリアブレイクの日々を「自分としっかり向き合い、将来をイメージすることができた貴重な時間だった」と話していた。 現在キャリアブレイク中という人もいる。広島県尾道市の後藤峻さん(38)は、会社員としてシェアオフィスの運営に8年間携わったが、昨年12月に退社した。 今は週12時間、県立高校の生徒と地域との連携を進めるコーディネーターとして活動しながら、仲間とオンライン勉強会などを企画する。「自分の仕事の軸はまだ定まっていなくて、走りながら考えているところ」 古民家を活用して、まち作りの担い手たちをつなげられるような場所を思い描き、クラウドファンディングで改修や運営に向けた費用を募っている。「焦りはあるけれど、この時間も経験も、無駄じゃない。人生全体で見たときの『キャリア』の積み重ねなんですよね」と力を込める。