iPhone登場から10年、身の回りで起きた10の変化
財布の次に失くせないものになった
小銭しか持ち歩かない方にとっては、“命の次に失くせないものになった”とも言えるかもしれません。iPhoneの登場によって、私たちは写真や動画、メールや連絡先といったプライバシーだけでなく、様々なサービスを利用するためのIDやパスワード、クレジットカードの情報、交通系ICカードの情報など、日常生活に必要なあらゆる情報を保存するようになりました。 スマートフォンを紛失するということは、こうしたあらゆる情報を紛失することと同義となり、たとえバックアップを取ってあったとしても、失くしたことによる精神的なショックは計り知れないものになりました。サービスや機能の進化を経て、スマートフォンは“自分のすべて”になったのです。
それでも、iPhoneは何も滅ぼさなかった
ここまで紹介したように、iPhoneの登場は私たちの日常生活の多くを根本から変えてしまった“破壊的イノベーション”だと言うことができます。しかし視点を変えてみると、iPhoneはこれまで存在していたものを駆逐する存在だったと言うこともできません。iPhoneにとって変わられることになったガラケーは未だに根強い人気を持ち、iTunesで音楽が気軽に買えるようになってもCDは死なず、アナログレコードの人気は再燃しています。 またKindleなどの電子書籍が台頭しても紙の書籍はなくならず、ベストセラーは今でも書店で飛ぶように売れています。そしてゲームやデジタルコンテンツに触れる機会が増えてもラジオやテレビは衰退せず、テレビで起きる話題の多くはSNSでシェアされ、ラジオはネット同時放送「Radiko」によって華麗なる復活を遂げました。むしろ、iPhoneをはじめとするスマートフォンがあらゆるモノやコトを実現できる存在になったからこそ、それまであった様々なモノの価値を再定義することに繋がったのではないでしょうか。
◇ ◇ ◇ iPhoneの登場から10年が経ち、スマートフォンは“新しいもの”から“当たり前のもの”になり、リアルな日常を生きる上で欠かせない存在になりました。日本上陸モデルiPhone 3Gの登場当時はギークな大人だけが持っていたスマートフォンが、今や小学生でも持つようなアイテムになりました。 その過程においては、大規模な情報漏えい、架空請求やネット詐欺、SNSを通じたリベンジポルノや犯罪予告、ネットいじめによる自殺や援助交際など未成年が巻き込まれる事件、様々な社会問題に直面してきたことも触れないわけにはいきません。 スマートフォンを作る技術はもちろん、人工知能、ビッグデータ、IoT(Internet of Things)など様々な技術が成熟したことで、今後はスマートフォンを取り巻く様々なサービスや関連製品を通じて、私たちのリアルな日常生活がさらに大きく変わっていくことが予想されます。そこで生まれる様々な社会課題を解決しながら、健全な社会の発展を実現させることが、“次の10年”の大きなテーマになるのではないでしょうか。 (執筆:井口裕右/オフィスライトフォーワン)