プロ野球の交流戦「代打xxx!」、セ・リーグ最強の切り札は誰だ?
プロ野球の交流戦は2日から2週目に突入、今週はすべての試合がセ・リーグのホームスタジアムで行われる。セ・リーグのホームゲームではセ・リーグのルールが適用され、指名打者は使えず、投手が打席に入るセ・リーグの野球で行われる。 セ・リーグ野球の特徴として挙げられるのが「代打の重要性」だ。投手が打席に入るセ・リーグでは、代打の起用回数が多くなり、その起用方法や結果が勝敗の行方を左右することも多い。では、代打起用が最も成功しているチームはどこなのだろうか?今回は「勝敗を左右する場面での代打結果」を集計し、代打の勝負手が最も結果を残しているチームはどこなのか?そして最も結果を出している選手、つまり最高の代打の切り札は誰なのかを探っていきたい。
終盤&接戦&得点圏こそ代打の見せ場
勝敗を左右する場面での代打結果を集計するにあたってまずは「勝敗を左右する場面」を定義する必要がある。そこで今回は代打に最も結果を出してほしい場面を「試合終盤(7回以降)の接戦(±3点差以内)で、得点圏にランナーがいる場面」と設定し、この場面での代打成績を集計した。その結果をチームごとにまとめたものが表1だ。 圧倒的な数字を残していたのが中日である。代打の起用回数31回、得点を記録した回数7回はともに1位で、打率の.360も2位DeNAを1割近く上回っての1位だった。またその内容も素晴らしく、勝ち越し点を奪ったケースが4回、同点としたケースも1回あった。とくに4月5日の広島戦は代打・高橋周平のタイムリーツーベースで追いつき、代打・小笠原のタイムリーでサヨナラ勝ちという、まさに「代打で勝った試合」だった。この試合を含め代打で勝ち越した4試合はすべて勝利しているので、代打によってすでに4勝を上積みしているといっても過言ではない。 次に得点回数が多かったのは阪神だ。ただこちらは代打の打者の成績が20打数2安打とさえない数字となっている。ただそれでも6度得点を挙げられているのは、押し出しが2回、犠牲フライ2回としぶとく得点につなげているケースが多かったから。打てなくとも最低限の結果を残している点は評価できるだろう。また勝ち越しが1回、同点が3回と勝敗に直結する働きが多かった点も好印象だ。 巨人、DeNA、ヤクルトの3チームは平凡な結果となった。巨人は27回の起用で得点を奪ったのは3回、9回に1回の成功率は物足りない。ヤクルトも得点を奪ったのは3回だけ。勝ち越しの点を奪ったケースもなく成功しているとはいいがたい。ただこういった場面で避けたい三振はまだ一度もなくこの点は評価できる。DeNAは起用回数、得点回数ともに5位。ただ打率は.267、四球も4つと得点に直結はしていないがチャンスを拡大しているケースは多い。今シーズンは接戦での強さが目立つが、こういったしぶとさもその強さの一端を担っているといえそうだ。 そして最も代打で成功してないチームが広島だ。19回の起用で得点を奪ったのはわずかに1回。それも1点リードからの満塁ホームランで、勝負を決めたり、劣勢を跳ね返したりするものではなかった。代打で試合を決めたといえる試合は一度もないのである。ただ不思議なことに今シーズン通算(すべての場面)での代打の打率はセ・リーグ断トツトップの.305を記録している。これは、終盤の勝負どころで投入した代打は打たないが、そうでないときには非常によく打つということを表している数字だといえるだろう。DeNAとは反対にここまでですでに1点差負け18回という勝負弱さの原因は、成功しない代打にもあることは間違いないだろう。