〔海外〕2024年の災害を振り返る
2024年を締めくくるにあたり、今年発生した海外での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。 ※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。 ●1月 【事故】北朝鮮東部で昨年12月下旬に列車事故、死傷者多数か 1月中旬に報じられる [被害]死者数百人か 2024年1月17日までに、アメリカ政府系のラジオ自由アジア(RFA)は、2023年12月下旬に北朝鮮東部で列車事故により多数の死傷者が発生したと報じた。なお、これまでに北朝鮮からは、この事故に関する公式の発表や報道はなく、韓国統一省も確認できる内容はないとしている。 RFAの報じたところによると、2023年12月25日午前に首都平壌を出発し、東部の咸鏡南道にある鉱山都市の検徳(コムドク)に向かっていた列車が翌日の12月26日夕方、咸鏡南道の端川(タンチョン)付近の峠を越えようとした際に、線路の老朽化と電力不足により勾配を上りきれずに後退しながら脱線、転覆した。 列車は、機関車の後ろに政府幹部専用の上級車両が2両、その後ろに一般旅客車両が7両連結されていたとみられ、上級車両は脱線しなかったが、一般旅客車両がすべて脱線し、谷へと転落した。事故当時、一般旅客車両は鉱山へ派遣される労働者などで満員だった模様で、脱線した車両から救助された乗客のほとんどが死亡したとされていることから、死者は数百人にのぼるものとみられている。 【政変・政情不安】パプアニューギニアで給与を巡る警察官ストライキを発端とした暴動発生 [被害]死者16人 負傷者数十人 2024年1月10日、パプアニューギニアの首都ポートモレスビーで、公務員の給与が予告なく削減されたとして、警察官らがストライキを実施し、政府に対する抗議を行った。このストライキと抗議行動に乗じて市民による暴動も発生し、商店への略奪と放火が行われるに至った。一時は首相府近くにまで退陣を求める群衆が迫ったほか、地方都市にも暴動が飛び火した。 事態に対してマラペ首相は暴動への非難声明と非常事態宣言を発表すると共に、国軍を投入した結果、11日夕方までに暴動は沈静化した。 発端となった公務員給与の削減は支給システムの手違いで、政府は修正を行うと呼び掛けていたが、結果的には警察官らによるストライキや抗議活動が行われた。 パプアニューギニアは、国民のおよそ半分近くが貧困ラインを下回る状況で、これまでも警察官の給与を巡るトラブルが発生している。2018年11月のAPEC開催時には、未払いの給与支払いを巡る抗議行動で国会議事堂が襲撃されるなどの事態に至っている。 【自然災害】中国南西部で山崩れが発生、住民が生き埋めに [被害]死者44人 2024年1月22日05:50頃(日本時間06:50頃)、中国南西部の雲南省東部で山崩れが発生した。山崩れに巻き込まれた集落の18世帯44人が生き埋めとなり、1000人以上が捜索にあたったが、25日夜までに44人全員の死亡が確認された。 現場は貴州省との境に近い雲南省昭通市鎮雄県塘房鎮涼水村で、専門家によると、幅100m、高さ60m、およそ30万立方mの土砂が崩れたとみられる。原因については、詳細は不明だが、以前から山肌に亀裂が生じていたという住民の声が複数の現地メディアで報じられている。 ●2月 【自然災害】チリ各地で大規模な森林火災 131人死亡 [被害]死者131人 行方不明者13人 被害家屋約1万4000軒 2024年2月1日頃から、南米チリの中部や南部を中心に各地で大規模な森林火災が発生した。国内の160か所以上で消火活動が行われたが、乾燥した空気と強風によって燃え広がり、都市周辺の山裾などの住宅にも延焼し住宅地に燃え広がった結果、多くの死者を出すに至った。チリ政府は非常事態宣言を発令し、軍も投入して消火活動を行ったが、火の勢いが弱まるまでに6日間程度を要した。 南半球に位置するチリでは夏場を迎えており、連日続く高温と空気の乾燥で火災が発生しやすい状況となっていた。また、当局は放火の可能性も視野に入れて捜査を進め、たき火した人を拘束するなどの動きもあった。 チリでは、2010年に発生した地震と地震に伴う津波によって約500人が死亡したが、今回の森林火災はそれに次ぐ規模の被害となった。 【自然災害】フィリピン・ミンダナオ島東部で地滑り [被害]死者90人 行方不明者37人 2024年2月6日夜、フィリピン南部ミンダナオ島のダバオ・デ・オロ州マコで地滑りが発生し、90人が死亡し、37人が行方不明となった。麓の住宅のほか、現場付近にある金鉱山の作業員を乗せたバスも複数巻き込まれた。ミンダナオ島では数週間にわたり豪雨が続いており、地盤がゆるんでいたとみられる。 ダバオ・デ・オロ州には金の鉱脈が存在し、違法採掘で地盤が不安定となった山で繰り返し地滑りが発生している。2011年4月には170人以上が、2012年1月にも20人以上が地滑りで死亡または行方不明となった。 【火災】バングラデシュ首都のビルで火災発生 [被害]死者46人 負傷者数十人 2024年2月29日21:50頃(日本時間3月1日00:50頃)、バングラデシュ首都ダッカのベイリー・ロードにある7階建ての商業ビルに入居する飲食店から出火した。火は2時間後に消し止められたが、少なくとも46人が死亡し、数十人が負傷した。死者の多くは煙による窒息死とみられる。 出火元はビルの下層階にある現地の炊き込みご飯に似た料理「ビリヤニ」を提供する人気の飲食店。火災の原因は、ガス漏れやストーブからの出火とみられているが、詳細については、政府が立ち上げた調査委員会により調査が進められている。 ビルに入居している店舗の店長によると、出火元から多くの人が階段を伝って上がってくる煙を避け、1ヶ所しかない階段から上層階へと逃げたという。また、避難した人の中にはビルの上階から飛び降りて負傷した人もいたとも語った。 ●3月 【自然災害】インドネシア・スマトラ島中部で洪水や土砂災害が発生 [被害]死者28人 行方不明者4人 2024年3月7日からインドネシア・スマトラ島中部にある西スマトラ州では豪雨が続き、州内の各地で洪水や鉄砲水、土砂災害が発生した。一連の気象災害に伴い、3月16日までに、死者28人、行方不明者4人が確認された。特に被害が激しかった州南部では25人が死亡した。また、避難した人は一時8万人にもなった。物的被害も大きく、住宅は3000戸以上が被害を受けたほか、40以上の橋が崩壊し、そのほかにも道路や農地などにも影響がでた。 3月はインドネシアでは雨季にあたる。そのため、今回のスマトラ島中部の豪雨災害以外にもジャワ島をはじめ国内各地で豪雨による洪水や土砂崩れなどの災害が相次いでいる。 【テロ】ロシア・モスクワ郊外のコンサートホールでテロ事件、140人以上が死亡 [被害]死者144人 負傷者551人 2024年3月22日20:00頃(日本時間3月23日02:00頃)、ロシアの首都モスクワ郊外のクラスノゴルスクにあるコンサートホール「クロッカス・シティ・ホール」に武装した集団が侵入した。当時はロックバンドのコンサートの開演前で、約6000人の観客がホール内にいたとみられる。侵入した武装集団は観客に向かって自動小銃で至近距離から無差別に銃撃を行ったあと、手投げ弾などを使ってホールを爆発・炎上させ、ホールの天井の一部が崩落した。この事件で、これまでに観客など144人が死亡し、551人が負傷した。 ロシア政府は今回の一連の事件をテロと断定し、逃走した武装集団の行方を捜査していたが、23日にロシア南西部のベラルーシとウクライナに国境を接するブリャンスク州で、実行犯4人を含む11人を拘束したと発表した。実行犯はいずれも中央アジアのタジキスタン出身で、アメリカなどはタジキスタンの隣国のアフガニスタンで政権を握るイスラム主義組織タリバンと対立するイラク・シリア・イスラム国(ISIS)のアフガニスタン分派「ISIS-K」の犯行との見方を示しており、ISISも事件後に自らの戦闘員による犯行と伝えている。その一方で、ロシア政府は今回のテロ事件にウクライナが関与していると主張しているが、ウクライナ側はこれを全面的に否定している。 モスクワ周辺で死者が100人を超えるような規模のテロ事件は、2002年10月に発生したロシアからの分離独立を主張するチェチェン共和国の武装勢力がモスクワの劇場を占拠し、人質など約130人が死亡した事件以来となる。 【事故】アメリカ東部で橋が崩落 大型コンテナ船が橋に衝突直後 [被害]死者2人 行方不明者6人 2024年3月26日01:28頃(日本時間同日14:28頃)、アメリカ東部メリーランド州ボルティモアで大型コンテナ船が橋の橋脚に衝突し、橋が崩落する事故が発生した。この事故により、8人が行方不明となり、うち2人が救助されたものの、6人は事故発生から18時間後に死亡したとみなされ、生存者救助活動は打ち切られた。その後の捜索活動で、27日に2人の遺体が車の中から収容された。 事故を起こしたのは、シンガポール船籍の大型コンテナ船「DALI」(約9万5000トン・9971TEU・2015年建造)で、デンマークの海運大手マースクがチャーターして運航していた。事故当時、同船はボルティモア港からスリランカのコロンボ港へ向けて出港した直後、電源系統を喪失し、救難信号を発信しながら航路から逸れ、橋梁に衝突した。救難信号を受けて橋は通行止めとなっていたが、橋の補修を行っていた作業員8人が崩落に巻き込まれた。 崩落した橋はフランシス・スコット・キー橋と呼ばれ、ボルティモア市街の南東部のパタプスコ川河口部に1977年に開通し、1日に3万5000人が通行する幹線道路。構造上の欠陥はなく、近年の安全検査でも問題がなかったとされている。 事故によりボルティモア港は一時閉鎖状態となり、4月1日に仮水路が開通したものの、4月初旬現在も大型船の出入りができない状況が続いている。同港は全米15位の貨物取扱量を誇り、特に自動車の取り扱いに強みを持つため、自動車産業を中心としたサプライチェーンへの影響が懸念されている。 アメリカ連邦政府は、橋のがれき撤去と再建に向けた緊急資金として6000万ドルの拠出を承認したほか、アメリカ国家運輸安全委員会(NTSB)がデータ・レコーダーを解析し、事故原因の調査を進めている。 ●4月 【自然災害】台湾でM7.7の大地震発生、日本にも津波到達 [被害]死者17人 負傷者1000人以上 2024年4月3日07:58頃(日本時間3日08:58頃)、台湾東部沖を震源とするM7.7(日本の気象庁発表)の地震が発生し、震源に近い花蓮県で震度6強を観測した。この地震で、23日時点までに花蓮市を中心に17人が死亡、1000人以上が負傷したほか、トンネルや倒壊した建物に人が閉じ込められたほか、大規模な土砂崩れも発生した。交通機関やライフラインでは、首都台北市郊外の新北市を走るMRT環状線の線路と高架橋がずれ、1編成が脱線したのをはじめ、台湾新幹線や台湾鉄道にも一部影響がでたほか、台湾全域で停電になるなどの被害がでた。 また、この地震に伴って台湾のほか日本やフィリピンなど周辺国でも津波警報が発表された。日本には最大3mの津波の到達が予想され、沖縄県与那国島と宮古島で30cm、石垣島で20cmの津波を観測した。 台湾ではこれまでも大きな地震がたびたび発生している。1999年に起きたM7.7の地震では、死者は2400人、負傷者は1万人を上回った。今回の地震は過去25年で最大級の規模で、3日の本震以降も22日から23日にかけて余震とみられる地震が相次ぐなど、1か月が経過しても影響は続いている。 【自然災害】アラブ首長国連邦など中東各地で豪雨、死者多数 [被害]死者100人以上 2023年4月、アラビア半島およびオマーン湾周辺では、豪雨の影響により各地で大きな被害が発生した。 アラブ首長国連邦では、4月16日に記録的な豪雨を観測した。アブダビ首長国東部にあるアル・アインでは16日の24時間降水量が254mmとなり、1949年の観測開始以来最多の雨量を記録した。また、ドバイ国際空港では12時間で年間降水量に相当する100mm近くの雨量が観測された。同空港では離発着が一時停止し、ダイヤが大幅に乱れ、搭乗手続きを停止する航空会社もあった。滑走路や空港周辺の道路では冠水が発生し、混乱は翌17日も続いた。ラアス・アル=ハイマ首長国では車に乗っていた70代の男性1人が死亡した。 この豪雨は周辺国にも被害を与えており、アラブ首長国連邦の隣国オマーンでは少なくとも19人が死亡したほか、オマーン湾を挟んで対岸にあるイランでも3人が死亡した。また、イランと接するアフガニスタンでは約70人が、パキスタンでは60人以上がそれぞれ死亡した。 【自然災害】アフリカ東部ケニアで豪雨による鉄砲水が発生 [被害]死者45人以上 2024年4月29日04:00頃(日本時間同日10:00頃)、ケニア・リフトバレー州南部のマイマヒウ近郊で鉄砲水が発生し、死者は少なくとも45人にのぼった。鉄砲水は当初、ダムの決壊によるものとみられていたが、その後の調査で、鉄道の下を通る河川用のトンネルがせき止められたものが豪雨で決壊したため発生したことが判明した。 ケニアのある東アフリカでは3月から5月にかけては年に2回ある雨期のうち1つにあたる。今年はエルニーニョ現象やインド洋ダイポールモード現象の影響を受け、ケニア各地で平年を上回る降雨量を記録している。そのため同国内各地では豪雨や洪水が断続的に発生し、3月から4月末までの間に120人以上が死亡した。また、隣国タンザニアでも同じように3月から4月にかけての豪雨で150人以上が死亡しているほか、ブルンジでも被害が発生している。 ●5月 【自然災害】ブラジルで洪水 死者140人以上、200万人以上に影響か [被害]死者140人以上 行方不明者130人以上 2024年4月下旬から5月上旬にかけて、ブラジル南部のリオグランデ・ド・スル州を中心に豪雨による大規模な洪水が発生した。これまでの死者は140人以上、行方不明者130人以上、避難者60万人以上にのぼり、ブラジルでの水害としては過去最悪の被害となった。 リオグランデ・ド・スル州では、グアイバ湖や主要河川の氾濫により家屋が浸水したほか、土砂崩れなどにより各都市を結ぶ道路や橋が寸断された。洪水による被害は州内の500都市のうち3分の2以上に及ぶほか、水力発電所のダム決壊による大規模な停電や通信障害など、ライフラインへの影響も甚大で、被災者は200万人にのぼるとみられている。また、同州の州都ポルト・アレグレにある空港では滑走路や駐機場が冠水し、復旧には数週間かかるとみられている。 【自然災害】アフガニスタンで豪雨による洪水相次ぐ [被害]死者425人以上 負傷者1600人以上 2024年5月中旬、アフガニスタンの各地で豪雨による洪水が相次いだ。まず5月10日には北部のバグラーン州、タハール州、バダフシャーン州などで洪水が発生。特に被害が大きかったバグラーン州では315人が死亡、1600人以上が負傷した。 続いて5月16日から翌17日にかけての豪雨で、北部のファーリヤーブ州や中部のゴール州などでも洪水が発生し、少なくとも110人が死亡した。 アフガニスタンでは3月以降洪水による災害が続いており、タリバン政権は10日の洪水被害を受け、国連や人道機関などに救援を要請している。これに対し、日本政府は国際赤十字・赤新月社連盟から支援要請を受け、5月16日に国際協力機構(JICA)を通じて毛布やテントなどの緊急援助物資を提供することを発表した。 【自然災害】パプアニューギニア中部で大規模な地滑り [被害]死者6人以上 行方不明者650人以上 2024年5月24日03:00頃(日本時間同日04:00頃)、南太平洋にあるパプアニューギニア中部のエンガ州で大規模な地滑りが発生し、家屋150軒以上が土砂に巻き込まれた。地滑りに伴う土砂の深さは、6mから8mに及び、幹線道路の寸断による重機投入の遅れ、地域の部族間対立など様々な要因から捜索・救出活動は難航した。その後、パプアニューギニア政府は28日に再び土砂災害が発生する危険性があるとして、現場周囲で暮らす8000人に対し、避難を勧告した。6月5日、パプアニューギニア政府は捜索・救出活動を中止したことを発表した。 死者はこれまでに6人以上が確認されているが、国勢調査が前回行われたのが20年以上前の2000年のため、パプアニューギニア政府が地域に住む住民の数を把握できておらず、一時政府は2000人以上が土砂に埋まったという推定を発表した。国連専門機関は670人以上が巻き込まれたと推定しており、政府も650人以上が行方不明と推定人数を修正しているが、被害の全容についての情報は現在も錯綜している。 ●6月 【自然災害】サウジアラビア 酷暑で大巡礼参加者1300人以上が熱中症により死亡 [被害]死者1300人以上 2024年6月14日から19日にかけて、サウジアラビア西部のイスラム教聖地メッカで行われたハッジ(大巡礼)中、熱中症による死者が1300人を上回ったとサウジアラビア政府保健相が国営テレビの番組内で明らかにした。同相は、死者の83%が無許可の巡礼者であるとした。また一部報道では、19日の段階で2000人以上が熱中症の治療を受けていたとの情報もあった。 メッカでは、5月17日の気温が51.8℃を記録し、死者の多くはサウジアラビア当局の許可を受けず、無登録で参加していた巡礼者とみられている。ハッジへの参加は事前登録制で、サウジアラビア当局の許可を受けてビザを得た巡礼者には医療サービスを提供していたが、無登録の参加者は当局の取り締まりを避け、炎天下にも関わらず砂漠を歩いて移動していた。 当初はサウジアラビア政府からの発表がなく、参加者の在住する各国政府が死者について発表していた。死者の半数以上はエジプトからの参加者とみられ、エジプト外務省は24時間体制で対策を行ったが、未登録者が多く状況の把握に時間がかかっており、行方不明者が死者のおよそ2倍に達するとの報告もあった。 現地では、家族が病院を回って連絡が取れない巡礼者を探しているほか、SNSでも情報提供を求める投稿が相次いだ。また、今回の事態を受けて、エジプト当局は無許可の巡礼渡航をあっせんした16の旅行業者の資格を取り消した。 ハッジはイスラム教徒の義務「五行」の一つで、財力と体力のある人が生涯に1度行うことが求められている。ハッジの時期は太陰暦のイスラム暦によって決まるため、今年は暑さのピークと時期が重なっていた。サウジアラビア巡礼省によると、今年は国内外から180万人以上が参加した。 【自然災害】中国南部各地で大雨 [被害]死者55人以上 2024年6月中旬から下旬にかけて、中国南部で大雨が相次いだ。6月16日には、広東省東部にある梅州市で12時間雨量が300ミリを超え、土砂崩れなどで、21日までに38人が死亡。20日には、景勝地として知られる広西チワン族自治州の桂林で、数十年に一度の洪水が発生し、少なくとも1人が死亡した。ほかにも、24日には湖南省長沙市で6月の1時間降水量が過去最高となるなど、各地で大雨が相次いだ。 ●7月 【自然災害】ハリケーン「ベリル」により多数の死者、猛暑と停電により被害が拡大 [被害]死者36人 2024年6月30日に5段階のうち4番目に強いカテゴリー4に発達したハリケーン「ベリル」は、間接的な被害も含め30人以上が死亡する災害を引き起こした。 カリブ海で発生した「ベリル」は西に進みながら、最大の強さである「カテゴリー5」まで発達した。通過した周辺の島々やベネズエラ、ジャマイカで11人が死亡したほか、多くの住宅が損壊したり、多くの停電、通信の断絶、空港の閉鎖などの被害が発生した。 7月8日にはカテゴリ1まで勢力を落としながら、アメリカ・テキサス州に上陸した。勢力を弱めながらも、暴風と大雨をもたらし多くの死者が発生したほか、主要道路が冠水し、港が封鎖され、1300便以上の航空便が欠航するなどの被害が発生した。その後、「ベリル」はアメリカ本土を北東に進み消滅した。 この「ベリル」の影響で、アメリカではテキサス州を中心に270万以上の世帯、企業で停電が発生した。この停電はハリケーン上陸後1週間経っても20万カ所以上で続き、ハリケーン通過後の猛暑の中、エアコンが使えないことなどで10人以上が死亡した。 【テロ】アメリカ・ペンシルベニア州の選挙集会でトランプ氏銃撃され負傷、犯人射殺 [被害]死者2人 負傷者3人 2024年7月13日18:15頃(日本時間14日07:15頃)、アメリカ東部ペンシルベニア州バトラーで、今年行われるアメリカ大統領選に向けて開催された、ドナルド・トランプ氏の選挙集会の開催中、演説していたトランプ氏が銃撃され、右耳を負傷した。この銃撃で、参加者の1人が死亡し、2人が重傷となった。銃撃犯はその場で警護中のシークレットサービスに射殺された。 その後、犯人は同州内に在住する20歳の男と判明したが、犯行動機やその背景となる容疑者の思想は不明、また支援者の存在は浮かび上がっていない状況で捜査が継続されている。 トランプ氏は銃撃直後に退避し、地元の医療機関で検査を受けたが、翌々日の15日からはウィスコンシン州で開催された共和党大会に出席し、20日には選挙集会に出席した。またバイデン大統領も、事件に対し声明を発表した。 アメリカ大統領選挙では、1912年に再出馬したセオドア・ルーズベルト元大統領が銃撃を受け負傷したが、一命を取りとめた。また1968年には、1963年に銃撃を受け死亡したジョン・F・ケネディ大統領の実弟、ロバート・F・ケネディ元司法長官が民主党予備選の期間に同じく銃撃を受け死亡している。 【政変・政情不安】バングラデシュで公務員採用をめぐるデモが全国に拡大 ハシナ政権退陣 [被害]死者300人以上 2024年7月上旬から8月上旬にかけて、バングラデシュで学生を中心としたデモが発生し、8月5日にはハシナ首相がインドに亡命する事態となった。 デモは、公務員採用の特別枠に関して、政府が撤廃する方針を高等裁判所が違憲としたことをきっかけに発生した。7月16日に治安組織との衝突で死者が出ると、デモは暴徒化し、全土へと拡大。首都ダッカでは国営テレビや政府関係機関、地下鉄施設の破壊が行われ、7月18日と翌19日には多数の死者が出た。これに対し、バングラデシュ政府は7月18日にインターネット通信を遮断したことをはじめ、公共の場で集会の禁止、夜間外出禁止令などでデモの沈静化を図った。 その後、7月22日に最高裁判所が公務員採用の特別枠廃止を認めたことで、一度デモは沈静化したが、8月に入ると再びデモが活発化した。8月4日にはハシナ政権退陣を求める大規模デモが発生し、多くの死傷者が出た。これに対し、政府は再び外出禁止令を発令すると共に、急きょ5日から7日の3日間を休日とするとした。しかし、デモは収まることがなく、5日中にハシナ首相はヘリコプターでインドへと逃れ、2009年から15年間続いたハシナ政権は退陣に追い込まれた。その後、大統領やデモ隊の指導者、軍幹部などが話し合いを行い、ムハンマド・ユヌス氏を顧問とした暫定政府が発足する方向で決定した。ユヌス氏は貧困層向けの「マイクロファイナンス」を行い、2006年にノーベル平和賞を受賞していたが、ハシナ政権とは対立関係にあった。 デモのきっかけとなった公務員採用の特別枠は、1971年にパキスタンからの独立戦争で戦った兵士の家族・子孫に全体の3割を割り当てるもの。この制度に対しては政権支持者に便宜を図っているという批判があり、政府は2018年に撤廃の方針を示していた。また、デモに対するハシナ首相の発言もデモを暴徒化させる要因となり、デモそのものも死者が出た7月16日以降、ハシナ政権の退陣を求めるものへと徐々に変化していた。 ●8月 【事故】ブラジルで旅客機が墜落し全員死亡 原因は着氷の可能性 [被害]死者62人 2024年8月9日、ブラジル・サンパウロ州ビニェドの住宅街に旅客機が墜落し、乗員乗客合わせて62人全員が死亡した。 墜落した旅客機は、ボエパス航空が運航するプロペラ機「ATR 72-500」で、パラナ州南部カスカベルからサンパウロ郊外のグアルリョス国際空港に向かっていた。 ソーシャルメディアに投稿された動画には、旅客機が水平状態で回転しながらほぼ垂直に落下していく様子が映っていた。 原因は調査中だが、当時、パイロットに対して着氷に対する注意報が出されており、専門家は機体に氷が堆積したことが、この事故の原因である可能性を指摘している。 【自然災害】トルコ各地で山火事 西部の主要都市で78人負傷 [被害]負傷者少なくとも78人 被害家屋少なくとも16棟 2024年8月12日頃から、トルコ各地で山火事が発生し、このうち西部に位置するトルコ第3の都市イズミルでは、15日に焚き火が原因と見られる山火事が強風のため拡大し、住宅地にも燃え広がった。この山火事で78人が負傷、約900人が避難した。また少なくとも住宅16棟が焼損した。 16日以降も全国各地で山火事が発生し、18日には南西部のムーラ県の2か所で森林火災が発生するなど、トルコ全体で最大約130件の火災が発生した。 一連の山火事を受けてトルコの林業当局は、18日から10日間程度、焚き火を行わないよう警告を発した。 トルコでは2021年の夏にも南部や南西部を中心に最大163か所で山火事が発生、8人が死亡、少なくとも1000人が病院へ搬送され、観光客約2200人が退避を迫られる被害が発生していた。 【自然災害】スーダン北東部でダム決壊 [被害]死者30人以上 2024年8月25日、北アフリカのスーダン北東部で大雨によりダムが決壊した。これは8月27日に国連人道問題調整事務所(OCHA)が発表したもので、紅海に面する都市ポートスーダンから北西約40キロの位置にあるアルバートダムが決壊、数十の集落が被害を受けた。このダムの決壊により、死者は少なくとも30人、行方不明者は数十人から数百人、被災者は数万人規模と見積もられている。 スーダンでは昨年4月から国軍と準軍事組織RSFが激しく衝突。その後も現在に至るまで1年以上戦闘が続き、国内情勢は依然不安定な状況にある。そのため、情報収集や支援物資輸送も困難になっているほか、豪雨による被害で多くの人々が飢餓に直面することが懸念されている。 ●9月 【自然災害】台風11号の影響で中国・東南アジア各国で被害多数 [被害]死者699人 行方不明者156人 台風11号「ヤギ」は、9月1日にフィリピンの東の海上で発生し、4日ごろからフィリピン、中国南部を通過して7日にベトナムを直撃した。8日にベトナムで熱帯低気圧に変わったが、その間、大雨により中国や東南アジア各国で多くの被害をもたらした。 ミャンマーでは首都のネピドーやマンダレー、シャン州など広域で洪水や土砂崩れが起き、384人が死亡し、89人が行方不明となった。 ベトナムではラオカイ省を中心に洪水や土砂崩れが起き281人が死亡し、67人が行方不明となっている。首都のハノイでは紅河が氾濫し道路が冠水したため数千人が避難した。 また、フィリピンでは20人、タイでは10人、中国では4人が死亡した。 人的被害のみならず、電気網や道路などのインフラが破壊されるなど物的被害も多数発生した。 ベトナムは、多国籍企業の事業拠点を数多く抱えており、工場の多くが操業不能になったため、世界的な製品供給網にも影響が出ることが懸念される状況となった。 【安全保障】レバノンで通信機器の爆発や大規模な空爆が相次ぐ ヒズボラの最高指導者死亡 [被害]死者1000人以上 負傷者数1000人以上 2024年9月中旬以降、レバノンでは通信機器の一斉爆発やイスラエル軍による大規模な空爆が相次いで発生し、市民を含め死傷者は数千人規模にのぼった。 9月17日、レバノンの首都ベイルート郊外などで、レバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの戦闘員が使用するポケットベルが一斉に爆発し、子どもを含む12人が死亡、2500人以上が負傷した。翌18日には同じくヒズボラが使用するトランシーバーが爆発し、少なくとも9人が死亡、300人以上が負傷した。一連の爆発により、駐レバノンのイラン大使も負傷した。レバノン側はイスラエルによる関与を主張しているが、イスラエル側による言及はなかった。 また、9月20日以降、イスラエル軍がレバノン南部を連日空爆し、市民を含む数百人が死亡、数千人が負傷した。27日にはベイルート南部にあるヒズボラ本部が空爆を受け、ヒズボラの指導者ナスララ師が死亡したほか、複数の幹部も殺害された。 ヒズボラ側もイスラエルに向けてミサイルやロケット弾を発射するなどして応戦し、双方の戦闘が激化しており、イスラエル軍はヒズボラの施設近隣に住む市民に対し退避を呼びかけている。また、イスラエルと世界各地を結ぶ航空便が欠航となっているほか、日本はレバノンからの邦人退避に備え、航空自衛隊の輸送機を近隣諸国に派遣した。 今回の一連の交戦による死者は2006年に起きた大規模な戦闘以降で最多となった。 【自然災害】アメリカ・フロリダ州にハリケーン上陸 死者・行方不明者多数 [被害]死者200人以上 行方不明者数百人 2024年9月26日夜(日本時間9月27日昼)、アメリカ南部フロリダ州にハリケーン「ヘリーン」が上陸した。上陸時の勢力は5つのカテゴリーの中で2番目に強い「カテゴリー4」で、上陸したハリケーンの中では14番目に強力なものだった。上陸後はジョージア州へと移動し、熱帯低気圧となったが、その後も各地に豪雨をもたらし、ハリケーンが通過した2州のほか、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テネシー州、バージニア州にも被害をもたらした。 ライフラインでは停電軒数が27日には400万軒を超えたほか、10月1日の段階でも200万軒で停電が続いている。人的被害では、山間部で25日から27日にかけて総雨量が600mmを超えたノースカロライナ州で大きな被害となっており、各地で土砂崩れ、洪水が発生。10月2日までに95人の死亡が確認された。被害のあった各州を合計すると、10月3日までに死者は200人を超えており、死者数は2005年に大きな被害をもたらしたハリケーン「カトリーナ」に次ぐ死者数となった。しかし、依然として行方不明者も数百人いるとみられ、今後もさらに死者数が増える可能性があるとみられる。 ●10月 【自然災害】アメリカでハリケーン「ミルトン」と関連し多数の竜巻が発生 17人死亡 [被害]死者17人 2024年10月、メキシコ湾で発生したハリケーン「ミルトン」は、一時最も強い「カテゴリー5」となったが、その後やや勢力を弱め、10月9日に「カテゴリー3」の勢力でアメリカ南部フロリダ州に上陸した。その後、フロリダ半島を西から東へ横断し、大西洋へと抜けていった。「ミルトン」の接近や上陸に関連して多くの竜巻が発生し、犠牲者が最多となったフロリダ州南東部セントルーシー郡では90分間に12回前後の竜巻が観測された。 一連の竜巻や土砂災害、高潮、瓦礫、切断された電線の影響などで、人的・物的ともに多くの被害が発生した。現在までに死者は17人が確認されており、バイデン大統領は「ミルトン」による被害総額は、専門家の試算で500億ドルに上る可能性があると発表した。 【事故】ナイジェリア北部でタンクローリー事故による爆発 147人死亡 [被害]死者少なくとも147人 負傷者55人以上 2024年10月15日夜から16日にかけて、ナイジェリア北部のジガワ州で、運転を誤ったタンクローリーが横転、漏れ出た燃料が爆発した。この事故で、タンクローリーから漏れ出た燃料を回収するために集まった住民ら少なくとも147人が死亡、55人以上が負傷した。 ナイジェリアでは、電力供給の不安定さにより発電機の利用が多く、その発電機に使用する燃料の高騰により、タンクローリー事故の際に住民が集まり回収する状況が繰り返されている。今年9月8日にも西部のナイジャ州で同様のタンクローリー事故による爆発が発生し、少なくとも48人が死亡していた。 【自然災害】スペイン東部で豪雨 210人以上が死亡 [被害]死者210人以上 2024年10月29日朝(日本時間同日午後)から翌30日にかけて、スペイン東部のバレンシア州や南部アンダルシア州で豪雨が続いた。バレンシア州西部では29日に8時間で1年分の降水量に匹敵する491mmを観測し、一部の地域でも過去20年間で最も多い雨量を観測した。豪雨の原因は北側から地中海への冷たい空気が生み出す寒冷低気圧とされている。 一連の雨の影響で、バレンシア州やアンダルシア州では、複数の河川で氾濫や鉄砲水が発生、特にバレンシア州で多数の被害が発生した。人的被害としては11月3日までに210人以上の死亡が確認され、ライフラインでは一時10万軒以上が停電した。こうした被害の規模は2021年に180人以上が死亡したドイツで発生した洪水を超え、ヨーロッパ全体で見ても半世紀に1度クラスの被害になるものと見積もられている。 また、大きな被害が発生したバレンシア州では国や州政府の情報提供や対応面に対する批判が集まっており、被災地を視察した国王フェリペ6世夫妻には住民から泥が投げつけられるという一幕もあった。 ●11月 【自然災害】インドネシアの火山噴火で9人死亡 [被害]死者9人 負傷者64人 2024年11月3日から、インドネシアの東ヌサ・トゥンガラ州フローレス島にあるレウォトビ・ラキラキ山で噴火が連日発生した。大規模な噴火も発生し、火砕流などで現在までに9人が死亡、64人が負傷しているほか、噴石などにより学校7校、民家23戸に被害が出た。 この一連の噴火で、バリ島デンパサール空港やフローレス島西部ラブアンバジョの空港を発着する便に多数の欠航が出た。 また、7日と9日に発生した大規模な噴火では、日本の気象庁が火山噴火によって生じる気圧波による日本の沿岸への津波の可能性があるため調査したが、「日本への津波の影響はない」と発表した。 【事件】中国各地で無差別殺傷事件相次ぐ 社会不安など背景か [被害]死者43人 負傷者70人以上 ※2024年11月のみの合計数 2024年11月11日20:50頃(現地時刻11日19:50頃)、中国広東省珠海市のスポーツ施設で小型のスポーツ用多目的車(SUV車)が暴走し、施設周辺で運動していた人々を次々にはねて逃走した。この事件で35人が死亡、43人が負傷した。犯人とみられる男は逃走後に自殺を図り、重傷を負った。男は離婚後の財産分与を巡る裁判の判決に不満を持ち事件に及んだと報じられた。 11月16日19:30頃(現地時刻16日18:30頃)、江蘇省無錫市の無錫工芸職業技術学院で、同校の元学生の男が刃物で無差別に切りつけ、8人が死亡、17人が負傷した。男は試験に失敗し卒業を認められなかったほか、実習先での勤務時間や報酬に不満を持っていたとの報道もあった。 さらに、11月19日08:37(現地時刻07:37)には、湖南省常徳市の小学校前で、登校のため集まっていた児童と保護者らに向かってSUV車が走行して襲いかかる事件が発生、十数人が病院に搬送された。車を運転していた男は、その場で取り押さえられた。 相次いだ3件の事件を受け、習近平国家主席をはじめ、国や地方の幹部が再発防止を指示した一方で、報道の抑制や外国報道の遮断、ネット上に投稿された事件に関する画像や動画を削除する動きも見られた。 今年に入って、中国では無差別に人々を襲撃し殺傷する事件が相次いで発生している。6月には10日に吉林省吉林市で、滞在中だったアメリカ人の大学教員4人が刃物で襲われ負傷したほか、24日に江蘇省蘇州市で日本人学校のスクールバスから降りる児童と迎えていた母親が襲われ、バスの添乗員が死亡した。9月8日には広東省深セン市で日本人学校に登校していた児童1人が刃物で襲われ死亡、10月には浙江省寧波市と広東省広州市、北京市で中国人の児童らが切りつけられ負傷する事件が発生し、北京市ではさらに小学校付近で児童と保護者が襲われる事件もあった。これらの事件の背景として、景気の後退による生活難や極端なナショナリズムによる外国人憎悪、抑圧的な政府による社会不信が攻撃的な事件につながると指摘する見解もあった。 【テロ】パキスタン北西部でイスラム教の宗派間抗争により多数の死傷者 [被害]死者82人 負傷者156人 2024年11月21日から24日にかけて、パキスタン北西部のカイバル・パクトゥンクワ州のクラム地区で、イスラム教の宗派間抗争が発生し、これまでに82人が死亡、156人が負傷した。また、およそ300世帯の住民が避難している。 パキスタンでは国教であるイスラム教の中でも、多数派を占めるスンニ派と少数派のシーア派によって構成されているが、今回、宗派間抗争が発生したクラム地区はシーア派の人口も多いことから、これまで数十年にわたり2つの宗派の対立が続く地域だった。 今回の抗争の発端となったのは、21日、クラム地区でシーア派の人々が乗っていた複数の車両がおよそ10人の武装集団に襲撃され、少なくとも43人が死亡したテロ事件である。この事件後、23日にかけてスンニ派とシーア派の間で銃撃戦が続いたほか、住宅や商店、政府施設などが放火された。 この一連の抗争を受けて、カイバル・パクトゥンクワ州政府は事態の収拾に乗り出し、州政府の代表団が23日にシーア派側と、24日にスンニ派側とそれぞれ会談し、24日から7日間の停戦合意が成立した。 ●12月 【自然災害】仏領マヨットにサイクロン直撃し死傷者多数 モザンビークやマラウイでも大きな被害 [被害]死者少なくとも159人 負傷者2000人以上 2024年12月14日、アフリカ東部のインド洋上の島、フランス領マヨットにサイクロン「チド」が直撃した。「チド」は、最大風速が時速200km以上に達し、多数の家屋が倒壊し、電力、道路等のライフラインやインフラが破壊された。この影響で、多数の死者や負傷者が発生し、フランス政府によると、少なくとも死者39人、負傷者1373人まで達したが、一時は死者が数百人から数千人に達する見込みとの報道もあった。この背景には、インフラ等の破壊により通信が途絶した他、被害者に隣国コモロからの不法移民が数多く含まれ、摘発を恐れた移民の避難が遅れたことや居住者が確認できないなどのために捜索が困難な状況だった。フランス政府は、被害者の救援を進めているが、被害の全貌が把握できていない状況となっている。 その後、「チド」は、アフリカ大陸に進んでモザンビーク北部を襲い、モザンビーク政府によると、死者120人に達したほか、負傷者868人、約15万5000軒の家屋が損壊したとの報道もあった。また、モザンビークに隣接するマラウイでも、13人が死亡した。 アフリカでは近年、気候の変動でサイクロンが強大化しており、「チド」もマヨットを襲ったサイクロンとしては、過去90年間で最も強い勢力に達していた。 【事故】韓国南西部の空港でチェジュ航空の旅客機が着陸に失敗・炎上、179人死亡 [被害]死者179人 負傷者2人 2024年12月29日09:03頃(日本時間同じ)、韓国南西部・全羅南道の務安空港で、タイのバンコク・スワンナプーム空港発のチェジュ航空(7C)2216便(ボーイング737-800型機)が着陸に失敗し、滑走路を逸脱して空港の外壁に衝突、炎上した。火災は09:45頃には鎮圧状態となったが、機体は尾翼部分を除きほぼ大破、焼失した。 事故機には乗客乗員あわせて181人が乗っていたが、生存者は機体後部にいた乗員2人のみ(いずれも搬送時は意識あり)で、このほかの乗客175人全員と乗員4人のあわせて179人が死亡した。これは韓国国内で発生した航空機事故としては、過去最も多い人命被害を出す事故となっている。乗客175人のうち173人は韓国人、2人はタイ人で、その多くがクリスマス休暇をタイで過ごしてから戻る途中で事故に遭ったとみられている。 事故機は着陸態勢に入ったところでバードストライクに遭ったという情報があり、通常とは逆方向から再度着陸を試みた。しかし、この際にエンジンにトラブルが発生した模様で事故機から遭難信号が出されたが、最終的には車輪が出ない状態のまま胴体着陸を試みたものの、減速せず滑走路を逸脱して空港の外壁に衝突している。 韓国国土部は、航空鉄道事故調査委員会が事故機からフライトレコーダーとボイスレコーダーを回収したと明らかにしており、これらの分析によって事故原因の究明を進めるとしている。その一方で、韓国政府は12月3日の非常戒厳以降の弾劾訴追の影響で、大統領、首相が職務停止となり副首相が代行、さらに災害対応を担当する行政安全部長官も空席のため次官が代行しており、今後の円滑な事故対応遂行が懸念されている。
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