「3歳の長男が白血病に」キャリアが断絶された母親の奮闘「病気が治る未来を信じ」挑んだ起業の道
あとは、完璧主義は最初からあきらめていましたね。家事の優先順位をつけて、生命活動に関わるものからやっていく。生命活動とは食事に関わることです。具のたくさん入ったお味噌汁とご飯だけは作るけど、掃除はまだいいよねとか(笑)。優先順位を決めてからは家族みんながすすんで家事をやるようになりました。長男が病気になって以来、家族で一緒にいる時間が増えて、不思議なことに心がとても穏やかなんですよね。看病で一生分と言えるほどの時間を子どもたちと一緒に過ごせたことは、貴重な期間だったと思います。
── 今後、働くうえで成し遂げたいことはありますか? 市原さん:働くうえで私が女性であることは、ずっと切り離せない問題・課題であり続けます。働く女性のもどかしさを解決する仕事がしたいという思いは今も一貫してあります。そのためにまずは、モデラートで働く方が柔軟に働ける環境を作る事。そしてモデラートの商品やサービスを届ける方の生活コストを担える会社になりたいと考えています。 良質な洋服を適正な価格で買っていただいて、その洋服を長く使うことができれば、他のことにお金を使えますよね。ベビーシッター代や家族旅行の費用に充てることができるかもしれません。消費者の生活コストを担える会社という理念にはずっとこだわっていますし、今後もこだわっていきたいです。モデラートができることはまだまだ小さいですが、私たちの仕事が社会の一助になればと考えています。
PROFILE 市原明日香さん 1976年福島県生まれ。東京大学教養学部卒。2児の母。アクセンチュア株式会社で3年間経営コンサルティングに従事、ルイ・ヴィトンジャパン株式会社にて4年間CRMに従事。息子の看病、フリーランスの期間を経て、2014年12月にモデラート株式会社を設立。 取材・文/大野英子 写真提供/市原明日香
ちゃんと 編集部