新進気鋭のピアノロックバンド606号室が語る、「等身大の恋愛曲」を作る理由
妄想って言ってるけど、リアルでもありえるんちゃうかな、っていうぐらい等身大
ーゆうあさんは606号室と対バンして知り合い、まずはサポートということだったそうですね。 ゆうあ:606号室としての初ライブに僕がもともとやってたバンドも出てたんです。そこから1年ぐらい経って、昇栄からサポートをして欲しいという連絡をもらい、最初は軽いノリで始めましたね。 ーそこから正式加入した決め手は? ゆうあ:人柄が大きかったです。全員やる気があるし、人もいいし。コイツらとやったらちゃんと音楽をやっていきたいな、と思えたんですよ。 ーこの4人が揃ったとき、いい手応えはありましたか? 昇栄:そこまで思えなかったというか、まずメンバーが揃うこと自体が夢だったんですよ。最初に組んだときもベースはずっとサポートで「バンドを組むのはこんなにも難しいんや?」みたいな。だから、4人が揃って良かった、という安心感がいちばん強かったです。 ーくわさんも惹きつけられたということでしたけど、606号室はプラスαじゃなくてピアノがサウンドの肝になってますよね。そのバランスは自然にそうなっていったんですか? 昇栄:自分がリードギターがいるバンドに憧れていたので、リードギターがいるもんやと思って作ってるんです、特に「君のことは」や「未恋」みたいな初期の曲は。円花にもギターフレーズをピアノで弾いて欲しい、それぐらいやって欲しいと伝えてて。 ーそういった提案を受けて、円花さんはどう感じました? 円花:もともと、ひとりでピアノをやってきたので目立つ場所にしか慣れてないこともあり(笑)、自分を出せる部分があるのは嬉しかったですね。 ーじゃあ、いろいろとスムーズにイメージが共有できたような。 昇栄:ただ、「君のことは」が最初の曲なんですけど、デモが(円花から)戻ってきたとき、基盤にクラシックがあるからなのか、理論にハマってるじゃないけど、面白みに欠けるなとは感じて。そこで「ありえないぐらい弾いて欲しい」と伝えて、あのアレンジがでてきたり。 ーそこで円花さんが持ってるモノが爆発したんですね。 昇栄:技量が凄くあるのはわかってましたから。 ー今って、ギターですらリフやソロを推さない傾向があるじゃないですか。そういうところは気になりました? 昇栄:あぁ……気にしてないですね(笑)。 ゆうあ:「もう、やったれ!」みたいな感じです(笑)。 ーバランス感だったりで参考にしたアーティストはいますか? 円花:ピアノの出方に関してはAmazarashiを聴いてみたりはしました。 昇栄:ただ、これを参考にしたというアーティストは特にいなくて。4ピースバンドのリードギターをピアノに変換してるっていう感じですね。 ーまた、606号室はコード感も特徴的だと思います。昇栄さんから出てきたメロディーに円花さんがコードをつけたり、ベーシックなアレンジをしているということがひと味違うモノになっているのかな、と。 円花:そうですね。鍵盤を弾いてるからこそできる、細かく言うとオンコードとか、ギターだとなかなか思いつかないでしょうし。そこは鍵盤ならではのコード感があるのかな、と思います。 ー606号室は恋を題材にした曲が多いですけど、そのあたりについてはどう考えていますか? 昇栄:自分的には恋愛にこだわってるというわけでもないんですよね。「君のことは」は恋愛の曲として聴かれてると思うんですけど、自分としては恋人ではなく、大切な人に作った曲だったりもして。 ーあくまで表現方法のひとつみたいな。 昇栄:でも、恋愛の曲だと妄想しやすいところはありますね。応援ソング的な曲になると、他のバンドと重なる歌詞も多くなりそうだし、ウソみたいなところも出てくる。恋愛の曲だと自分で物語を作って妄想を膨らませて、そこに実体験も入れて、みたくできますし、歌詞も書きやすいというか。 ー「未恋」では終わってしまったけど振り切れない恋を歌ってたり、「君のことは」は大切な人へ、というお話もありましたけど、強い想いを自問自答していたり。絶妙に主人公が弱気というか、相手を尊重してる傾向がありますよね。 昇栄:それは僕の性格ですね(笑)。結構そういう感じの、後ろめいたというか、不器用なところがあるので。 円花:めちゃくちゃ自分に謙虚で弱っちぃ感じは昇栄だなと思います(笑)。だから、全部が実体験やと思えるぐらいにリアルなんですよ。妄想って言ってるけど、リアルでもありえるんちゃうかな、っていうぐらい等身大になってますね。 くわ:たしかにそう思います。ただ、昇栄は映画がめっちゃ好きやったりするんで、その物語を書いてるようなところも感じますね。