「まんが道」「バクマン。」「これ描いて死ね」 昭和と令和「漫画家たちの生態」はどう変わったか
■全編にマンガ愛があふれまくり アイデアがユニークな安海、絵がうまい藤森、忌憚ない評を述べる赤福、さらに転校生で人気同人作家の石龍光(せきりゅう・ひかる)も加わって、漫画同好会は始動する。マンガの沼にハマる怖さを知っている手島は「あくまで趣味の範囲に徹し……『これ描いて死ね』などと漫画に命を懸けないこと」とクギを刺すが、ついつい本気で指導してしまう。コミティア参加に向けて本を作ることになり、安海と藤森の合作ペンネームは「赤福想」に決定した。
コミティアで自分たちの本が初めて売れたときの彼女らの喜びようは最高で、見ているほうもテンションが上がる。手島の言動も含め、とにかく全編にマンガ愛があふれまくり。マンガ好きには号泣ポイントだらけで、電車の中とかで読むのは危険である。 3作に共通するのは、「読めばマンガを描きたくなる」という点。先日、81歳での漫画賞受賞が話題になったが(参考記事:「81歳で新人漫画賞」を受賞した漫画家の正体)、何かを始めるのに遅すぎることはない。プロは無理でもコミティアなどの即売会で自分の本を売ることはできる。マンガの世界は自由なのだ。
南 信長 :マンガ解説者