ウォール街のイベントリスク高水準、悪いニュースに身構える市場
(ブルームバーグ): 米金融当局のハト派姿勢や景気拡大、インフレの沈静化に支えられてきた市場にとって、11月に入ってからのニュースは、そうした状況がいかに脆弱(ぜいじゃく)になっているかを示している。
長期にわたって相場の強さを支えてきた柱に亀裂が見られる。今年の株高の主な推進力だったテクノロジー企業の決算はまちまちな結果となり、1カ月分の株価上昇を帳消しにし、ナスダック100指数は8週間ぶりに週間ベースで下落した。
株式と債券の歩調を合わせた上昇は、大接戦の大統領選や米金融当局の金利決定見通しを巡る大きな疑問など多くのイベントを控えて急にブレーキがかかった。
株式や米国債、通貨や商品に至るまで、これほど不安が顕著になることは選挙サイクルのこの段階ではこれまでほとんどなかった。一例を挙げると、バンク・オブ・アメリカ(BofA)が算出しているクロスアセット・リスクの指標は選挙前の週としては金融危機時を除けば最高を記録した。
全体として、ここ最近まで数十年で最高の年として位置づけられていたリスク資産にとって、劇的な展開の舞台が整った。堅調な企業業績に支えられ、S&P500種株価指数は今年、一時23%上昇。信用リスクの指標は数年来の低水準に近く、暗号資産(仮想通貨)ビットコインは65%急騰した。
モルガン・スタンレー・インベストメント・マネジメントでポートフォリオソリューション・グループ最高投資責任者(CIO)を務めるジム・キャロン氏は「ここ数週間の株価上昇を利用して、ポートフォリオのリスクを軽減した」と述べ、「選挙の時期には波乱が起きると考えている。騒ぎが収まり、再び明確なシグナルが現れるのを待ちたいと思う」と語った。
少なくとも2007年以来最長となっていた株式と債券の協調的な上昇は10月の下落で歯止めがかかった。S&P500種は1日に反発したため、今週の下げ幅は縮小したが、重要イベントを翌週に控えてリスク選好度は全体的に後退した。5日の米大統領選は財政政策の問題を前面に押し出しており、7日に予定されている連邦公開市場委員会(FOMC)の政策決定は、急ピッチな金融緩和期待を最近後退させている債券弱気派の決意を試すものとなりそうだ。