ウォール街のイベントリスク高水準、悪いニュースに身構える市場
ヘッジ手段でも不安が徐々に高まりつつある。シカゴ・オプション取引所(CBOE)のボラティリティー指数(VIX)は、大統領選とFOMC会合を含む期間をカバーする9日物が2週間でほぼ2倍となり、22年以来最大の上昇となった。米国債の同種の指標であるICE・BofA・MOVE指数は1年ぶりの高水準に達し、投資適格債や通貨の指標も上昇した。
不確実性の中心にあるのはもちろん、トランプ前大統領とハリス副大統領が争う大統領選であり、世論調査では依然として両者の支持率が拮抗(きっこう)している。利回り上昇から暗号資産の急伸、金価格の高騰まで、すべてがこの大統領選と関連付けられているが、依然として不明な点も多い。
問題を複雑にしているのは、S&P500種の好調が、いわゆる「トランプ・トレード」の復活と並行して起きている点だ。賭け市場でトランプ氏の勝算が高まるにつれ、投資家は関税と減税に関する同候補の政策がインフレを復活させ、財政赤字を膨らませると予想して米国債売りを選択。暗号資産業界を声高に支持する同候補の当選確率上昇も、ビットコインの値上がりと時を同じくしている。
ゴールドマン・サックス・グループが選挙情勢を映す銘柄を選別した株式バスケットによれば、トランプ氏勝利の賭けは株式市場でもはっきりと見られる。
ただ、トランプ氏の勢いが期待ほど続かなかった場合、こうした賭けは脆弱(ぜいじゃく)になる可能性があると、バークレイズのストラテジストは指摘。「トランプ氏の圧勝以外の結果になれば、選挙後にこうした取引は波乱に見舞われるか、場合によっては反転する可能性がある」と1日のリポートに記した。
原題:Wall Street Event Risk Piles High in Markets Braced for Bad News(抜粋)
--取材協力:Denitsa Tsekova、Mark Tannenbaum.
(c)2024 Bloomberg L.P.
Lu Wang, Isabelle Lee