ロボアド最大手ウェルスナビ、三菱UFJとの資本提携「裏の苦悩」
新しい少額投資非課税制度(NISA)スタートから4カ月。新NISAをきっかけに資産運用を始める人も多く、投資未経験者でも手軽に分散投資ができるロボットアドバイザー(ロボアド)のサービス利用者が増えている。ロボアドとは、プログラム(アルゴリズム)を用いて投資家の資産運用の目的やリスク許容度に応じて最適な資産配分を提案し、自動で運用するサービスだ。 【関連画像】ロボアド5社の預かり資産とウェルスナビの半期ごとの契約者増加数 ロボアド最大手のウェルスナビは、2023年2月から最低投資額をそれまでの10万円から1万円に引き下げ、自動で資産運用ができるサービス「おまかせNISA」を24年1月に新NISAに対応させた。同年1月だけで「おまかせNISA」の運用者数は約7000件増えた。23年の運用者増加数は1カ月当たり2000件ほど。その3倍を超える大きな反響を得た。「昨年は運用者のうち投資経験者の割合が7割程度を占めていたが、新NISAを追い風に投資未経験者の新規流入が増えてきている」(ウェルスナビ担当者)という。 ロボアドの人気に火が付いたのは、金融庁が金融機関に対する「顧客本位の業務運営に関する原則」を掲げた17年ごろ。ほったらかしで運用できる利便性やAI(人工知能)による投資判断の客観性が評価され、証券会社などが対面で販売する投資一任の「ファンドラップ」に代わる商品として注目され始めた。 ウェルスナビは、16年にSBIグループと提携し、預かり資産が急成長。正式なサービスのリリースから1年後の17年7月時点には預かり資産が200億円を突破。そのうち130億円がSBIを窓口としたもので、依存状態が続いていた。その後、SBIホールディングスは、21年8月に同じくロボアドを提供するFOLIOホールディングス(東京・千代田)を子会社化し、自社グループでロボアド業界に参入。ウェルスナビは22年11月にSBIとの提携を解消し、重要なビジネスパートナーを失った。 ●SBIとの決別で新規顧客獲得に苦戦 同社は、ネット銀行や地方銀行などとの提携や、テレビCMなどの広告宣伝を積極的に展開し、SBIへの依存度を下げてきたが、提携解消後は新規顧客の獲得に苦戦していた。実際に、23年の契約者増加数はSBIと組んだFOLIOに抜かれている。