<ドラえもん>50年で267刷、442万部 てんコミ第1巻が売れ続ける理由 “未来へつなぐ”スペシャル版のこだわり
藤子・F・不二雄さんの人気マンガ「ドラえもん」(小学館)のてんとう虫コミックス(てんコミ)第1巻の刊行50周年を記念し、第1巻のスペシャル版「『ドラえもん』第1巻 スペシャル版」が7月25日に発売された。てんコミは、1974年7月25日に発売された「ドラえもん」のコミックス第1巻からスタートしたコミックスレーベルで、小学館ドラえもんルームの今本統人さんによると「『ドラえもん』の発刊企画をきっかけに作られたレーベル」という。「ドラえもん」のてんコミ第1巻は、1974年の刊行から50年がたった今も年に4、5回重版されており、7月時点で267刷、累計発行部数は約442万部を記録している。てんコミ第1巻が売れ続ける理由、スペシャル版のこだわりを聞いた。 【写真特集】入手困難! 「ドラえもん」第1巻初版 デザインがかなり変わっている? ファン垂涎のスペシャル版も
◇「ドラえもん」のために作られた“てんコミ”
「ドラえもん」は、「よいこ」「幼稚園」「小学一年生」「小学二年生」「小学三年生」「小学四年生」(いずれも同社)といった六つの雑誌の1970年1月号で連載をスタートした。てんコミの刊行がスタートしたのは、その4年後となる1974年で、現在と比べると、刊行までに時間がかかった印象がある。それには、当時と現在の出版のビジネスモデルの違いが関係しているという。
「新書判のコミックスは、1960年代後半頃から各出版社から刊行され始めたのですが、当時は雑誌が売れていた時代だったので、連載作品をコミックス化して売るという、今では当たり前になっている発想がなかったんです。小学館でも、『週刊少年サンデー』で連載されていた横山光輝さんの『伊賀の影丸』のコミックスが、秋田書店の『サンデーコミックス』というレーベルから刊行されていました」
その後、1974年5月に小学館でも自社の雑誌の連載作品を収録するコミックスレーベルとして、「少年サンデーコミックス」「フラワーコミックス」が誕生する。その2レーベルに続き、同年7月に「てんとう虫コミックス」が刊行をスタートした。今本さんは「当初、『ドラえもん』のコミックスは、少年サンデーコミックスから発売される話も持ち上がったようですが、『サンデー』の編集部と『ドラえもん』が連載されていた学年誌の編集部が別だったこともあり、『ドラえもん』のためのレーベルとして、てんとう虫コミックスが誕生することになりました」と説明する。