<ドラえもん>50年で267刷、442万部 てんコミ第1巻が売れ続ける理由 “未来へつなぐ”スペシャル版のこだわり
◇ただの復刻版ではない 第1巻スペシャル版の魅力
50年間、多くの人の魅了し続けるてんコミ「ドラえもん」。その第1巻の刊行50周年を記念して、7月25日に発売されたのが、第1巻のスペシャル版「『ドラえもん』第1巻 スペシャル版」。光沢のあるカバーと、第1巻の初版のデザインを可能な限り再現したカバーのダブルカバー仕様で、発表時にカラーで描かれたエピソードはカラーで収録。本体の表紙や、総トビラ、マンガのせりふのQ数(文字のサイズ)など細部まで初版を再現した。現在では入手困難な第1巻の初版を再現しているが、今本さんは「ただの復刻版ではない」と説明する。
「ダブルカバーの外側のカバーは、“未来感”を意識してキラキラとした光沢のあるカバーとなっています。また、本文は通常のてんコミよりも上質な紙を使用しているため、線がくっきりと見える。マンガのせりふのQ数に関しては、初版のほうが小さく、現在のてんコミは吹き出しいっぱいに文字が入っています。スペシャル版では、読者の目線が先に絵に行くように、初版に近いQ数を採用しています。50周年の歴史を感じつつ、次の50年、未来に向けて広がりがあるような本にしたいと思い、企画しました」
スペシャル版は、別冊として全48ページの「てんとう虫コミックス『ドラえもん』ひみつとあゆみ」が同梱(どうこん)されているのも特徴だ。第1巻発刊から現在までの軌跡が分かる貴重な資料を収録しており、巻末には、連載誌に掲載された記事ページも掲載されている。
別冊の表紙には、第1巻に描かれているドラえもんの原画がデザインされているのも見逃せない。てんコミ第1巻のカバーにデザインされているイラストと、原画を見比べると、陰影、色味などが微妙に違うことが分かる。当時、原画にデザイナーによる処理が入り、コミックスにデザインされたためだ。原画に色を塗った藤子・F・不二雄さんのアシスタントは、完成したコミックスを見て「影がなくなっている」と驚いたという。そんな歴史も感じられる特別な別冊となっている。
「50年の歴史を感じていただき、てんコミ『ドラえもん』の魅力を知っていただくことで、よりこの本に愛着を持っていただけたらうれしいですね」と語る今本さん。第1巻のスペシャル版は、1年間限定で発行される。今後も未来へと続いていくであろうてんコミ「ドラえもん」の50年の歴史をじっくりと感じたい。