39県の「宣言」解除 安倍首相が会見(全文1)残る8都道府県も21日めどに評価
身の回りにウイルスは確実に存在
しかし、どんなガイドラインも感染リスクをゼロにすることはできません。緊急事態が解除されたあとも、私たちの身の回りにウイルスは確実に存在します。北海道では2月下旬に独自の緊急事態宣言を出し、感染者を大きく減少させることに成功しました。しかし3月半ばの解除後、2~3週間たったころから感染者が再び拡大傾向となりました。ドイツでも行動制限を緩めた直後、感染者が増加に転じ、再びロックダウンをせざるを得なくなった地域があります。当初、抑え込みに成功したといわれたシンガポールでも感染者が大きく増えました。韓国でも先週、ナイトクラブで集団感染が発生したというニュースをご覧になった方も多いと思います。気を緩めた途端、一気に感染が広がっていく。全てをかつてに戻した途端、あっという間に感染が拡大する。これがこのウイルスの最も怖いところです。 これまでの努力を無駄にしないために、解除された地域の皆さんに3つのお願いがあります。第1は、少しずつ段階的にということです。解除された地域の皆さんに、もはや外出自粛はお願いいたしません。それでも最初は人との面会は避ける、電話で済むものは済ませるなど、人との接触をできる限り減らす努力は続けていただきたいと思います。解除された地域の中でも県をまたいだ移動については、少なくとも今月中は可能な限り控えていただきたい。段階的に日常の暮らしを取り戻していただくようお願いいたします。
ウイルスへの警戒怠らないで
第2は、前向きな変化はできるだけこれからも続けてほしいということであります。オフィスの仕事については多くの皆さんのご協力によって、この1カ月でテレワークが普及しました。改善すべきは改善しながら、この前向きな変化を今後も継続していただきたい。時差通勤などの取り組みも混雑を避ける上で有効であり、ぜひこれからも続けていただきたいと考えています。 第3は、日常のあらゆる場面でウイルスへの警戒を怠らないでいただきたいということです。小まめな手洗いを心掛けていただくことはもとより、常に人と人との距離を十分に取り、密集は避ける。外出をするときは必ずマスクを着用し、ほかの人との密接はできるだけ避ける。屋内より屋外で、密閉は避ける。専門家の皆さんが取りまとめた新しい生活様式も参考に、3つの密を生活のあらゆる場面で避けていただきたいと考えています。特に3つの密が濃厚な形で重なる夜の繁華街の接待を伴う飲食店、バーやナイトクラブ、カラオケ、ライブハウスへの出入りは今後とも控えていただきますようにお願いいたします。いずれもこれまで集団感染が確認された場所であり、身を守るための行動を重ねてお願いいたします。 社会経済活動を本格的に回復させる一方で、同時にこのウイルスの感染拡大を抑え込んでいく。これほど難しい作業はありません。これまで以上に、お1人お1人のご協力が必要となります。ウイルスとの暮らし、ウイルスが身の回りにいることを前提に、その感染リスクをできる限りコントロールしながら、いつもの仕事、日々の暮らしを取り戻す。新たな日常を、しっかりと時間を掛け、ある程度の試行錯誤も重ねながら確立していく必要があります。世界中どこにもまだ、こうすれば大丈夫という正解はありません。長い道のりも覚悟する必要があります。だとすれば、その間も私たちの雇用と暮らしはなんとしても守り抜いていかなければなりません。 新たな日常への道のりを国民の皆さまと共に、一歩一歩前進していく。そのためにはもう一段の強力な対策が必要であると、そう判断いたしました。先般の事業規模117兆円の補正予算を強化するため、政府として直ちに2次補正予算の編成に着手いたします。このあとの政府対策本部で指示いたします。休業を余儀なくされている皆さんの暮らしを守るため、雇用調整助成金を抜本的に拡充します。1日8000円余りが上限となっていた助成額を、世界で最も手厚いレベルの1日1万5000円まで特例的に引き上げます。さらに雇用をされている方が直接申請することができ、そして直接お金を受け取れる新たな制度を創設いたします。