【2023年に復活したスイス時計の名門】ユニバーサル・ジュネーブを代表する“コンパックス”とは?
ユニバーサルのムーヴメント開発は非常に効率的で、初期は大型のCal.285を中心に、小型化された281や289などのムーヴメントに派生。ベースキャリバーを生み出すと、そこからモジュールで機能を追加して、新モデルを生み出すというシステムが確立されていた。多様な製品展開ができたのも、この体制が確立されていたからだ。他社へのムーヴメント供給も積極的に行っており、特にゼニスへの供給は有名だ。そのほかにもエルメス、ダンヒル、ジラール・ペルゴ、ジャガー・ルクルト、エベラール、ヴァシュロン・コンスタンタンなど錚々たるメゾンに供給実績がある。 ユニバーサルのクロノグラフムーヴメントは3サイズに大別され、最大のものが前述の最初期モデルCal.285(14リーニュ/約31.7mm)。これが最も市場で見かけるサイズで、サイズの大きさを生かしてスプリットセコンドなどのバリエーション展開も豊富だった。 ミドルサイズはCal.281(12 1/4リーニュ/約27.8mm)で、これは複雑な機構を追加して、トリコンパックス用などにも転用されていった。最小サイズはCal.289(10 1/2リーニュ/約23.3mm)で、主にシンプルなユニコンパックスやレディース用に使われていた。角形ケースに収められたものもあるが、サイズの小ささから製造が難しかったこともあって非常にレア。市場ではほとんど見かけることがない。 比較的見つけやすい大型のCal.285やその派生ムーヴメントは、サイズの大きさもあってパーツの配置に余裕があり、肉厚なレバーなどの採用で耐久性も高い。仕上げのレベルも比較的高く、古い個体でも安心して使うことができる。 ひと昔前は100万円前後でいい出物が手に入ったが、このブランドも例に漏れず最近の価格高騰が著しい。しかも状態の良い個体は年々見つけにくくなる一方だ。バリエーションが多いモデルなので、時間をかけて自分にマッチするお気に入りの1本を探すべきだろう。
文◎Watch LIFE NEWS編集部