犠牲者1200人超え 狩野川台風とは?
「昭和33年の狩野川台風に匹敵する記録的な大雨となるおそれがあります」 11日午前11時から始まった気象庁の台風19号に関する記者会見。説明に立った梶原靖司予報課長は、今回の台風の脅威を説明するのに、61年前の台風を例に挙げた。 気象庁によると、狩野川台風は、1958年9月21日にグアム近海で発生した台風で、静岡県伊豆半島の狩野川の氾濫や、首都圏でがけ崩れや浸水被害が相次ぎ、死者・行方不明者1269人、床上・床下浸水合わせて50万棟以上となった。 狩野川台風は、24日に中心気圧877ヘクトパスカルを観測するなど大型で猛烈な台風となった。26日午後9時過ぎに、静岡県の伊豆半島の南端をかすめ、27日午前0時ごろに神奈川県三浦半島、同1時頃に東京を通過した。 本州に近づく前に勢力が急に衰えたため、風による被害は少なかったものの、日本列島の南海上にある前線が活発化しながら北上した影響などで、東京都心で日降水量371.9ミリを観測するなど、東海地方と関東地方で大雨となり、土砂災害や河川の氾濫が相次いだ。ちなみに、東京都心のこの日降水量の記録は現在に至るまで更新されていない。 特に伊豆半島中部では集中して雨が降り、大量の水が流れ込んだ狩野川が氾濫。伊豆地方だけで死者・行方不明者1000人を超えた。また、神奈川県や東京都でも、市街地の浸水や造成地のがけ崩れなどが相次ぎ、大きな被害があった。