「本を読む子は学力が高い?」東大出身が語るわが子が読書にハマる方法「生まれついての本嫌いはいない」
■4.人の考えを取り入れて自分を変える力 読書をすることで今いる場所とは違う世界、違う価値観や考え方に触れることは、他者や世界への謙虚さ、素直さの醸成につながっています。アドバイスを素直に受け入れ、自分を変えていける姿勢は、勉強や部活などあらゆる場面で活かされます。もちろん、「本を読む」以外の場面でもこれらの力を育む機会はありますが、ただ動画を視聴するだけでは難しいように思われます。 ── 動画視聴だけでは学力の底上げに貢献しづらい?なぜでしょうか。
笹沼さん: 動画コンテンツが危ういのは、圧倒的に「わかったつもり」になれるからです。とくにショート動画は、短い時間で違和感を抱かせないことを第一に作られています。そのために、複雑さやわかりにくい部分は切り捨て、視聴者が立ち止まらないような、ひたすら主張し続けるような設計になっています。 ── 内容がどんどん流れていくから、自分のペースで理解しづらい。 笹沼さん: もちろん、動画だからこそ理解が深まることもあるでしょう。しかし、同じ内容を「動画で視聴した人」と「本で読んだ人」にわけて、それぞれ1週間後に聞く実験してみたら。後者の方が内容を記憶しているだろうと思います。
── 動画を楽しみ、読書も楽しむ。子どもも大人もそんな風に使いわけができるようになればベストですね。 笹沼さん: 水泳もピアノも大人になってからも学べますが、子どものうちの経験しておいたほうが覚えが早いし、楽しめますよね。読書も同じで、できれば小学生のうちに習慣化しておきたい。読書ができるようになればほかのことはなんとかなる。そう言いきってもおおげさではないくらい、読書には大きな価値があると僕は確信しています。
PROFILE 笹沼 颯太さん ささぬま・そうた。Yondemy代表取締役。2020年、東京大学経済学部在学中に子どもが読書にハマるオンライン習い事「ヨンデミー」を開発・運営。AIのヨンデミー先生によるサポートとやり取りを通じて、子どもが「読書を習う」という新しい文化を創る挑戦をしている。『東大発!1万人の子どもが変わった ハマるおうち読書』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は発売後即重版に。
取材・文/阿部花恵 写真提供/株式会社Yondemy
阿部花恵