「本を読む子は学力が高い?」東大出身が語るわが子が読書にハマる方法「生まれついての本嫌いはいない」
■「本を読む子は学力が高い」という説は本当? ── 「本をよく読む子は学力が高い」という説は昔からよく聞きます。読書によって学力が鍛えられる面もありますか? 笹沼さん: 読書を楽しめるようになると、読解力、想像力、思考力が鍛えられ、学びの意欲も向上します。僕はこれまで本嫌いの子が読書家になっていく姿を数多く見てきましたが、読書が学力の向上に貢献することは間違いありません。 文字を読むのが得意になったおかげで教科書もスイスイ読めるようになり、毎日の宿題に前向きになれた子もいれば、韓国アイドルにハマって韓国語の入門書を図書館から借りて独学で学び始めた子もいました。「子どもが自分の気持ちを上手に言語化できるようになったおかげで親子のコミュニケーションもスムーズになりました」と保護者から喜びの声が寄せられたこともありました。
なぜ本を読める子は賢くなるのか。それは読書によって子どもの中に眠っている次の4つの力が自然に育まれるからです。
■1.学びに向かう力 勉強が苦手な子がよく挙げる理由に、「文字を読むのが嫌いだから」があります。「読む」という能動的な行為は、学習のあらゆる場面で必要とされます。教科書、宿題、テスト、参考書、すべて文章を読めなければ取り組めません。小学生のうちから読書によって「読む」行為に慣れておけば、学びの土台になります。
■2.言葉を使いこなす力 多くの言葉に触れて語彙が増えると、思考や表現の幅が広がります。自分の感情を詳細に言葉で伝えることができるようになれば、コミュニケーション力もおのずと上がります。また、テキストコミュニケーションが主流となっている現代では、仕事のやり取りもAIへの指示も、言葉を使いこなせるようになる必要があります。
■3.EQ(心の知能指数)を高める力 論理性などの頭のよさの指標にはIQ(知能指数)が用いられますが、近年はEQ(心の知能指数)を採用で重視する企業が増えています。小説をたくさん読む人は、人の感情を読み取る能力に長けているという報告があります。読書を通じて他者の感情に想像を巡らせることは、コミュニケーション能力の土台ともいえるEQの向上にもつながります。