つい3年前まで社会人。コンサドーレ札幌、児玉潤が貫いたJリーガーへの想い。J1に辿り着くまでの茨の道とは【コラム】
⚫️憧れの存在「毎日のように多くの学びがあります」
「昔からサッカーを続けてきたなかで、あきらめなかった結果がこのチームでプレーできているひとつの理由でもあると思うし、自分の可能性を信じなければここにたどり着くこともできなかった。そういった面では自分を信じて、ここまで積み上げてきたものは肯定してもいいのかなと思います」 札幌の一員として、栃木シティFCとの2回戦、そして千葉戦と天皇杯の2試合を戦った児玉は、2021年からの3年でカテゴリーを5つもあげた自身のサッカー人生をあらためて振り返った。 「順風満帆な人生ではなかったし、高校でも大学でもたくさんの挫折を経験した。それでもあきらめたくない、という自分のあきらめの悪さというのは、ある意味でよかったかなと思っている」 プロサッカー選手になる夢を追いながら、児玉は菅野孝憲を憧れのゴールキーパーにすえてきた。菅野の身長も179cm。決して大柄ではないサイズで横浜FC、柏レイソル、京都サンガF.C.をへて札幌と、プロの世界を生き抜いてきた40歳の眩しい背中を、間近で見られる札幌での日々に児玉は感謝する。 「サッカーへのむき合い方であるとか熱量といったものを含めて、毎日のように多くの学びがあります。自分が憧れてきた選手と間近で一緒にトレーニングできる、という状況は本当に幸せなことですし、いいものはどんどん自分のなかへ取り入れていきたい、という思いがありますよね」 千葉戦でも日々の練習の成果を何度も発揮した。FW小森飛絢、DF岡庭愁人、再び小森と前半だけで3度の決定的なシュートをセーブ。後半もFW高木俊幸と1対1になった場面で得点を許さなかった。 「セービングの部分に関しては本当に大きな収穫があったというか、普段の練習の段階からこれまで意識してきたことを、ピッチの上でも出せたと思っている」 自らのシュートストップを振り返った児玉は、それでも及第点は与えない。唯一の失点となって黒星につながった、前半終了間際の45分にMF品田愛斗に決められた完璧かつ強烈な直接FK。これを「相手を褒めるしかなかったのでは」と問われると、悔しさを込めながらリベンジを誓っている。