なぜ17歳の“逸材FW”高岡伶颯はJリーグを経由せずプレミアの“古豪”サウサンプトンとの仮契約を勝ち取れたのか?
来シーズンからイングランド・プレミアリーグに昇格するサウサンプトンは19日、U-19日本代表FW高岡伶颯(れんと=17、宮崎・日章学園高3年)と仮契約を結んだと発表した。18歳になる来年3月の卒業後に渡英して正式契約を結ぶ。昨年11月のFIFA・U-17W杯でチーム最多の4ゴールをあげて国内外で注目を集めた高校屈指のストライカーは今年4月の練習参加でのアピールをへて、元日本代表DF吉田麻也(35、現LAギャラクシー)らが在籍した古豪クラブからのオファーを勝ち取った。 【決定的瞬間】カタール戦の延長での劇的決勝ゴール
突然の発表が日本サッカー界を驚かせた。 来シーズンからイングランド・プレミアリーグへ昇格するサウサンプトンが、19日にクラブの公式HPを更新。世代がひとつ上のU-19日本代表に飛び級で名を連ねる高校屈指のストライカー、17歳の高岡と「仮契約を結んだ」と発表した。 所属する宮崎県の強豪、日章学園高も公式HPを更新。キャプテンを務める高岡のサウサンプトン加入内定を報告するとともに、高岡本人のコメントを掲載した。 「この度、イングランドのサウサンプトンFCに入団することになりました。伝統あるクラブチームで、幼いころからの夢であったプロサッカー選手としてのキャリアをスタートできることをとても光栄に思います。U-17W杯に出場して、少しでも早く世界のサッカーにチャレンジしたい、このチームなら成長できると強く感じて決断しました。1日でも早くトップチームで活躍し、恩返しできるよう努力します」 コメントのなかで高岡が言及した、昨年11月にインドネシアで開催されたFIFA・U-17W杯がサッカー人生のターニングポイントになった。 ポーランド、アルゼンチン、セネガルと対戦したグループステージで、高岡は3試合連続で計4ゴールをマーク。アルゼンチンには敗れたものの、ともに途中出場だったポーランド戦とセネガル戦では日本を勝利に導いた。 グループDを3位で突破した日本は、ラウンド16でスペインに1-2で敗れた。後半途中から再びスーパーサブで出場した高岡も不発に終わったが、大会を通じて日本があげた全5ゴールのうち4得点を叩き出した存在感の高さは際立っていた。 サイズこそ身長165cm体重62kgとひときわ小柄な高岡だが、稀有なスピード、シュートセンス、そして強気な性格でゴールを陥れてきた。特にU-17W杯のセネガル戦では相手のバックパスに対して一気に加速。キーパーとの間合いを詰めてボールを奪い取り、無人のゴールへ流し込んでこの試合で2点目を決めている。 評価を高めた高岡には複数のJクラブが獲得に動き、鹿島アントラーズや浦和レッズなどの練習にも参加した。しかし、高岡自身が思い描いていたのはシュツットガルトのDFチェイス・アンリ(20、福島・尚志高卒)、ボルシアMGのFW福田師王(20、鹿児島・神村学園高卒)らと同じく、高校卒業後に直接ヨーロッパに挑む道だった。 高岡は今年4月に、日本高校選抜の一員としてデュッセルドルフ国際ユース大会に出場して、チームトップタイの3ゴールをあげている。大会終了後にはチームとともに帰国の途につかず、イギリスに渡ってサウサンプトンの練習に参加した。 同クラブのU-18およびU-21のチームで約2週間、自らの武器をアピールした。サイズやフィジカルの差を補ってあまりあるスピードに対して、帰国後には「スピードと、フィニッシュのところまではよかったと思う」と手応えをつかんでいた。