開志国際を初のウインターカップ優勝に導いた"オールラウンダー" 明大でも、得意なプレーが「ない」ことを武器に
さらにハンドリングを磨き、シュート確率の波も少なく
例えば、コーチから「好きなプレーをしていい」と言われたら、武藤はコート上でどう自分を表現したいのだろう。「やっぱりオールラウンドなプレーですね」と武藤は答えた。具体的には、オフェンスでは味方に生かされ、反対に生かすこともできる。ディフェンスでは相手のエースを抑える役目を担い、自他ともに認める攻守の要になることである。 「去年は周りに生かしてもらうことが多かったですけど、今年は自分でも攻撃をメイクする場面が増えました。ディフェンスにもフォーカスしていますし、プレーの質が高くなってきている感覚はあります」 今年の夏、武藤には大きな刺激を受けた出来事があった。パリオリンピックのメンバーにジェイコブス晶(ハワイ大学)が最年少となる20歳で選ばれたことだ。「もう刺激しかなかったです。U19で初めて一緒にプレーしたんですけど、3ポイントは外さないですし、身長が2m以上あるのにプレーが柔らかい。やっぱりチームメートだった選手がA代表で活躍する姿を見ると刺激になります」 2027年にFIBAワールドカップ゚がカタールで開かれ、翌年にはロサンゼルス・オリンピックが控える。現在19歳の武藤も目標に定める場所であり、その場に立つためには一つずつ課題をクリアしていかなければならない。 「もっとハンドリング力をつけなきゃいけないですし、シュート確率の波も少なくしたいです。キャッチ&シュートばかりだった3ポイントも、今年からは動きながら打つ練習を取り入れています。ポジションも3番(スモールフォワード)から2番(シューティングガード)に上げなければ代表やプロで生き残っていけないと思うので、これからもスキルアップを図っていきたいと思います」 独特の存在感と貢献度で自らの道を切り開き、常に必要とされてきた。武藤俊太朗という深みのあるオールラウンダーは、これからどんな成長曲線を描くのだろうか。
小沼克年