開志国際を初のウインターカップ優勝に導いた"オールラウンダー" 明大でも、得意なプレーが「ない」ことを武器に
「できないプレーがない」を強みに
武藤は身長190cmのスモールフォワード。現在の体重は87kgで、豊富な国際経験を積んだ分、フィジカルには自信がついた。だが、身長は決して恵まれているとはいえず、それを補うスピードがあるタイプでもない。武藤は自身の強みや、たびたび代表メンバーに招集される理由をどう自己分析しているのか。本人に問うと「多分、できないプレーがあまりないところ……」と首をかしげ、こう続けた。 「まだまだですけど、一つひとつのプレーの質は(周りの選手と比べて)高い方だと思います。できないプレーが少ないから、いろんなコーチも自分を使いやすいのかなと」 武藤の良さは、様々な状況やチーム事情、ゲームプランに順応できる点にある。高校時代は介川アンソニー翔(現・専修大学2年)にエースの座を譲り、自分がリバウンドなどの黒衣約に徹したことで日本一をつかみ取った。「高3から打ちはじめた」という3ポイントシュートも今では武器の一つだ。 アンダー世代の代表を指揮するマルチネス アレハンドロヘッドコーチ(HC)からは「武藤のシュートは落ちないから、練習中からどんどん打ちなさい」と言われ、代表合宿で指導を受けたトム・ホーバスHCにもシュート力を評価された。「あなたの仕事はシュートなので、合宿ではたくさん打ってください」。U22日本代表を率いた網野友雄HCには「シューター陣はそろっているから、ドライブで中を切ったり味方にスクリーンをかけたりしてほしい」と求められ、それを遂行した。 得意なプレーについて、武藤は「今はないです」ときっぱり言った。エースが5人いても、ディフェンス職人が5人いても勝てるとは限らない。彼のマルチなプレーぶりは試合に勝つため、チームを一枚岩にするためには欠かすことのできない要素だ。本人は控えめに言う。「大学に入ってからもプレーの幅を増やしてはいますけど、得意なプレーはない。でも、それがある意味でいいことなのかもしれません」