「体に悪いから食べたくない」父のがん闘病から6年…病気への恐怖で視野が狭まる息子に本人から救いのひと言
19歳年上の夫とふたりの子どもたちと暮らすイラストレーター・横峰沙弥香さん。最近、小学生の子どもたちの疑問や悩みに答える夫の発言に、数々の名言が散りばめられていることに気づいたそう。がん闘病を経験した父を気づかうあまり、食生活に厳しくなりすぎつつある息子に、父がかけた言葉とは? 【漫画】「これは泣く」がんを経験した父を思い「食べたくない」と言う息子にかけた父の言葉が素敵すぎた
■「がんに悪いっていうから」食生活に厳しくなりすぎる息子 夫ががんを患い、転移のたびに手術をしながらの生活もそろそろ6年目。まだ幼かった息子は最初こそ状況がよくわかっていなかったものの、最近はずいぶんとがんという病気について理解している様子です。
ネットで調べ物をするスキルを身につけてからは、動画サイトなどであれこれと調べては、「がんになるリスクが高いからあれは食べたくない」だの「こうしなきゃがんになりやすいらしい」だの生活の中で自分を律するような行動を取り始めたことが少し気になっていました。でも、まめの胸中を思うと気持ちはよく理解できるし、そもそも悪いことをしているわけではないため、なんと声をかけてよいものか悩んでしまってうまく話せなくなる。
■「どうして健康でいたいのか?」と息子に問う父の思いは そんなとき、夫の説明がなんと心強いことか。 健康に気をつけることがとても大切なことだというのは大前提として「じゃあ、どうして健康でいたいか」を考えると、それは人生を楽しむため、ということになるのです。 どれだけ憎んでリスクを回避しようとしても病気になるときにはなってしまうのだから、好きな食べ物を我慢しすぎたり、せっかくの楽しい時間をさっさと切り上げてしまったりなんてことばかりじゃおもしろくない。なにごともほどほどに楽しむ気持ちは持っていてもいいのだと諭してくれたのが当事者である夫だったことがまめの心に響いたのだと思います。
生まれたときから強運の持ち主であるまめは「僕は最強に運がいいから僕の大事な人はいなくならない」とはっきり言います。そんなまめがパパの病気のこととなると、こんなにいろいろと調べて憎んでいる。大事な人を失うかもしれないという不安と必死で戦っているのだと胸が痛くなります。 なんだかんだで無事に5年。この先なにが起こるかはその時になってみなければわからないのが正直なところではありますが、毎年この時期になると家族全員で過ごせる喜びと健康のありがたさに思いをはせずにはいられません。
PROFILE 横峰沙弥香さん よこみね・さやか。イラストレーター。長崎県出身、1984年生まれ。2015年、第一子誕生を機に、長男「まめ(愛称)」との日常を絵日記にしてインスタグラムに投稿を開始する。2017年に長女「ゆめこ(愛称)」が誕生。著書に『まめ日記』(かんき出版)、『まめ日和』(光文社)、『ちんちんぼうずのだいぼうけん』(KADOKAWA)、電子書籍『へたのよこずき1・2』(主婦と生活社) などがある。
横峰沙弥香