DEATH SIDE・ISHIYA、5年ぶりアメリカでのパンクフェス体験記 Conflict、MDC、Dropdeadら素晴らしいステージも
2024年9月19、20、21日に、アメリカ・カリフォルニア州ロサンゼルスで行われた『C.Y.FEST』に、筆者がボーカルをやっているDEATH SIDEで出演してきた。コロナ禍が明けてから初めてのアメリカである。今まで何度も訪れているが、現在のアメリカで行われるパンクフェスはどうなっているのか、レポートしていきたいと思う。 『C.Y.FEST』ライブ写真&現地写真をすべて見る 今回出演した『C.Y.FEST』は、アンダーグラウンドハードコアパンクシーンとしてはかなり大きなフェスで、3日間の中心的なライブのほかにも小さなライブが行われていた。DEATH SIDEが出演したのは20日の「PRE C.Y.FEST」と21日のメインライブである「C.Y.FEST」の2回だ。 9月18日にメンバー5人は3グループに分かれてロサンゼルスへ到着し、ひとまず宿泊先のホテルへ向かう。メンバー全員と無事合流し、まずはメキシコビールのモデロで乾杯。その日は旅の疲れを癒そうと思ったのだが、フェスへ出演する海外のバンドが全て同じホテルのため、知り合いが多すぎる。ギターの弁慶とベースのSHINYAの部屋が、ホテルの1階で宿泊者たちの通り道にあるため、さまざまな友人が集まってくる。 元FUKのベーシストで現Conflictのベースであるフラン・フィアロンを見つけた途端、懐かしい話に花が咲く。The Varukersの面々やイギリスの友人イギーとも再会し、部屋の中と前の廊下でパーティーが始まる。久々のアメリカで、ホテルではあるがホームパーティーのようで懐かしい。初日にしてアメリカへやって来た実感が溢れる日となった。 翌日はDEATH SIDEのライブはないが、初めてのConflict体験である。世界中のパンクスたちに動物の権利と反戦のイデオロギーを伝えた先駆者。今回のフェス出演で、自分たちの演奏と同じくらい楽しみにしていたライブだ。 会場の1st Street Billiardに到着し中に入ると、これまでのアメリカツアーで仲良くなった連中が山のようにいる。懐かしい面々とビールを酌み交わしていると、あっという間にFinal Conflictの出番がやってきた。 Final Conflictは、元Crucifixのメンバーなどで構成されたアメリカ西海岸を代表するハードコアパンクバンドで筆者と仲が良い。アメリカのレジェンドと言っても過言ではないバンドだが、今回のフェスではこの日にしか出演しない。ステージが始まると圧巻のパフォーマンスであったが、ギターのトラブルがあり、ギターのジェフ・ハープは不完全燃焼だったかもしれない。それでも素晴らしいステージには感動した。 続いてイギリスからThe Varukersの登場だ。U.K.オリジナルハードコアパンクの一角として一時代を築いた彼らだが、そのステージは名曲のオンパレードで、思わず口ずさみ体が動いてしまう。久々に観たThe Varukersは「U.K.ハードコアここにあり」といったさすがのライブだった。 そしていよいよ初Conflictの瞬間がやってくる。まだ来日したことのない海外大物ハードコアパンクバンドで、筆者もレコードが擦り切れるほど聴いたバンドだ。サウンドチェックをしている間にも、ステージの後ろにボーカルのコリン・ジャーウッドの姿が見える。これがConflictか! 同じホテルの宿泊だが、緊張と憧れでまだ声すらかけていないコリンの登場で、一気にヒートアップする。名曲の数々が目の前で演奏され、時折参加する女性ボーカルも素晴らしい。そして最後の2曲が「The Serenade Is Dead」と「This is the A.L.F.」という超名曲ではないか! 図らずも落涙しながら観ている筆者に、「素晴らしいね!」「観れてよかったね!」などと、友人たちが声をかけてくる。初めてのConflict体験は、素晴らしいひとときを過ごせた夢のような時間だった。 終了後にバックヤードへ行き、Conflictの感動を友人たちと分かち合っていると、もうひとつバンドが出演するというではないか。 中に入ってみると、今まで観てきたハードコアパンクバンドとは違い、激情を前面に出すようなステージではない。しかし、独特の素晴らしいリズムと楽曲で、飄々と観客たちの心に入り込んでくる。 「なんだこのバンドは!」 隣にいたパンクスに聞いたところ、Appendixというフィンランドのバンドだった。 あまりにも素晴らしいので、ライブ終了後に話しかけてみると1982年からやっているという大先輩ではないか! 80年代のフィンランドオリジナルハードコアパンクバンドで、話していると、オリジナルバンドが醸し出す特有の雰囲気がステージに表れているのだと確信できた。 これまで知らなかった素晴らしいバンドを発見できるのも大きなフェスの醍醐味だ。翌日はいよいよDEATH SIDEの出演だ。