女子テニスツアー通算5勝のファンエトファンクが引退。ケガから復帰も「必要な情熱の炎を感じられない」<SMASH>
女子テニスのWTAツアーで通算5勝を挙げたアリソン・ファンエトファンク(ベルギー/世界ランク228位)が、現役引退を表明した。30歳での幕引きに至った思いについて、自身のSNSに次のように綴っている。 【画像】ファンエトファンクが自身のSNSに綴った引退のメッセージ 「この決断を下すことは信じられないほど大変でした。ここ数週間、全力を尽くして、全てのポイントを戦い、そして世界中を旅するのに必要な情熱の炎を感じられていません。簡単な選択ではありませんでした。昨年は大きなケガから復帰するのに、肉体的にも、特に精神的にもかなり苦労しました」 大きなケガというのは、昨年2月に負った背中の負傷だ。これにより、約8カ月間のツアー離脱を余儀なくされた。10月に復帰した後も、ツアーレベルでは勝利がなかった。それでも今年6月のサービトンW100を含め、ITF大会では3度優勝しており、完全復活への途上にあると思われたが......。 ファンエトファンクと言えば、四大大会での最高成績となった2015年全仏オープン・ベスト8の活躍が印象深いが、彼女の繊細なタッチとパワフルなサービスが融合されたプレーは、高速コートでより力が引き出された。 キャリアで獲得した5つのツアータイトルのうち、2017年の「クープ・バンク・ナショナル」(カナダ・ケベックシティ/カーペット)を皮切りに、18年、19年に連覇した「ハンガリアン女子オープン」(ハンガリー・ブダペスト/ハード)、さらに21年の「アスタナ・オープン」(カザフスタン・ヌルスルタン/ハード)の4つは、いずれも室内コートだった。 SNSに載せたメッセージのなかで、ファンエトファンクは自身の成し遂げたことをこう振り返っている。 「数々のグランドスラムに出場し、ローランギャロスで準々決勝に進出し、ウインブルドンで4回戦を戦い、WTAで5つのタイトルを獲得したことは、まさに夢の実現か、それ以上のものです」 ファンエトファンクは、得意とするグラスコートでもインパクトを残した。18年のウインブルドン2回戦、ガルビネ・ムグルサ(スペイン)戦では、前年覇者を相手に強気で大胆なプレーを見せ、1セットダウンから6-2、6-1と連取して逆転勝ち。これはトップ10から初めて挙げた白星でもあった。3回戦ではアネット・コンタベイト(エストニア)を倒して4回戦に進出し、同年にマークしたキャリア最高37位につなげた。 長文のメッセージには感謝の言葉が溢れている。5歳からテニスをさせてくれた家族をはじめ、長くにわたり指導を受けたコーチへ、ケガで苦しんでいた時期にサポートした親しい人々へ......。そして最後はこう締めくくられた。 「テニスは私に多くのものを与えてくれました。そして永遠に私の心の中にあります」 今後については、「人生の新たな章に踏み出すことに興奮している」というファンエトファンク。セカンドキャリアでもきっと彼女らしい挑戦を続けるはずだ。 構成●スマッシュ編集部