能登半島の5市町が「今、行ける能登」を発信、ツーリズムEXPO2024で観光の再開状況を聞いてきた
志賀町:金沢拠点の日帰り観光へシフト
七尾市の西側に位置する志賀町。日本海の荒波が作り出した、数々の自然の造形美が楽しめる景勝地だ。地域DMOである志賀町観光協会の事務局長・岡本明希氏によると、現在、観光施設の多くが営業を再開している。TEJの出展は「震災はあったが、観光で訪れることができることを伝えたかった」と話す。 同地も地震で被災し、現在も一部で隆起した地面や崩れた部分にブルーシートを張る住宅も残る。能登半島国定公園の景勝地・巌門を周遊する「能登金剛遊覧船」は、津波で3隻のうち2隻が流された。その後、同遊覧船は1隻追加し、7月から2隻体制で通常運航を再開。「当地域に関しては通行止めの道路はない。街並みに震災の影響を感じるところはあるかもしれないが、観光は、ほぼ通常稼働になっている」(岡本氏)。 ただし、現在、宿泊施設は奥能登の復興支援での利用が多い。もちろん、観光客の利用も可能だが、今は金沢を滞在拠点に、日帰り観光がメインになっている。同協会も当面は、日帰り観光を中心に誘致をしていく考え。新たに「鼓動を感じる志賀町」を打ち出し、重要無形文化財であり、地域の人々が幼少期から親しんでいる「志賀の太鼓」や、冬の増穂浦海岸に打ち寄せられるさくら貝のクラフトなど、地域の暮らしに溶け込んでいる文化や自然を楽しむ体験コンテンツを作っていくという。 その先陣を切るのが、夕日の名所でもある増穂浦海岸を望む「世界一長いベンチ」のリニューアルイベントだ。同ベンチは1989年に890人のボランティアによって設置され、ギネスブックに掲載された。これを、2024年10月5日にギネスに再挑戦する。当日、ベンチに座った人数をカウントする際に「志賀の太鼓」のリズムを打つという。
石川県観光連盟、「今行ける能登」の情報を収集・発信
北陸3県では、2024年3月の北陸新幹線の敦賀延伸という一大イベントにあわせて新幹線効果を最大化する各種プロモーションを実施してきた。10月~12月には、JRグループと北陸デスティネーションキャンペーン(DC)を展開する。 被災地域の情報発信に関しては、被害の少ない地域と切り分けて実施している。石川県観光連盟では能登半島の入り口である口能登エリアや中能登エリアと、奥能登エリアとの観光再開の違いを踏まえ、正確な情報発信に努めている。TEJ2024では、石川県/石川県観光連盟の出展ブース内に能登の5市町を迎え、現地の最新情報を提供した。当初、輪島市も出展者に名を連ね、輪島塗の体験や朝市名物の試食提供などを予定していたが、残念ながら豪雨災害への対応のため当日の参加はかなわなかった。 また、公式サイト「ほっと石川旅ねっと」に「今行ける能登」のページを設け、道路の通行規制の情報や観光に関する営業情報を発信。各自治体やDMOと連携し、各地域が対象の施設の状況を毎週更新し、代表的な観光地の最新情報を把握できるようにした。復興応援ツアーの情報も、「今行ける能登」のページで案内している。その一環として、輪島朝市組合が震災後に開始した「出張輪島朝市」の情報も掲載している。 ▼ななお・なかのと観光Navi https://kankou.nn-dmo.or.jp ▼しかまち観光ガイド https://shika-guide.jp ▼ほっと石川旅ねっと https://www.hot-ishikawa.jp/index.html
トラベルボイス編集部