小中給食費無償化の青森県、教育改革の中身は? 教員の専門性発揮のため「金八ギャップ解消」を
県知事が感じている「青森県の教育課題」
2024年10月から「県内の小中学校の給食費無償化」を実施するという青森県。全県実施は全国初として県外からも注目が集まっているが、これは同県の子ども施策の一部に過ぎない。昨年6月に同県で戦後最年少の知事として就任した宮下宗一郎氏は、就任直後から「青森県教育改革有識者会議」を立ち上げ、その提言を踏まえて教育大綱を作成するなど教育改革にも力を入れている。宮下氏は今、どのように教育を変えていこうと考えているのだろうか。 写真】教育界の名だたる有識者で構成する「青森県教育改革有識者会議」の様子 ──2023年6月の青森県知事就任後、教育改革や子ども施策に精力的に取り組んでいらっしゃいますが、県内にはどのような教育課題があるのでしょうか。 私は小・中学校や高等学校に行く機会が多く、そこで常々感じていることが、教育改革や子ども施策に対する私の原動力になっています。 現場で先生、保護者、子どもの話を聞くとそれぞれに大変不満があり、昭和の教育から変わっていないのではないかと感じることが多いです。一方で、子育てにおいては相対的な貧困が進み、親も子も孤立しており、温かい地域や家庭といった昭和にあったよい部分が失われているように思います。 そのため、まず必要なのは、子どもをもっと信頼すること。そして、子どもたちを真ん中に置いてその成長を支援する仕組みを、学校・家庭・地域が連携して作ること。これは全国的な課題かもしれませんが、今の青森県にとって重要な点であると考えています。 とくに学校に最先端のテクノロジーや子どもたちに信頼を置いた教育プログラムが整っているとはいえません。子どもたちが大人になった時、今ある知識は古くなって使えなくなる可能性があります。 だからこそ、必要なのは普遍的な知識を知恵に昇華させていく力。その力を育むためにも、チョーク&トークの一斉授業に留まらない、子どもが自ら問いを立てて学びを獲得していけるような環境を整えてあげたいなと思っています。