小中給食費無償化の青森県、教育改革の中身は? 教員の専門性発揮のため「金八ギャップ解消」を
「入試制度・学校・授業」のあり方を変えていく
──都道府県としては初の給食費無償化を決定されました。その狙いや、ほかにも早期に実現したい取り組みがあれば教えてください。 政策において最も大事なのは、大胆さとスピード感。給食費無償化は各ご家庭にとっての大きな負担減になると同時に、子育て支援に力を入れているというメッセージにもつながると思っています。子育て施策が一気に進む姿を発信することで、若者が青森県に定着し、還流するきっかけにもなるはず。気運を醸成して県民の期待に応えていくというサイクルをやり続けることが、県政の基本だと考えています。 子育て支援については今後、子どもを真ん中に置き、多世代交流の居場所づくりにも取り組みたいですね。 教育改革については、「県立高校の入試制度のあり方」「学校統廃合を含めた県立学校のあり方」「授業のあり方」について有識者会議で議論を始め、検討を進めます。大学入試は多様化しているのに高校入試は変わっていません。そこでまずは大学入試と高校入試で求められる資質を評価したうえで入試制度を再構築し、さらに小・中・高の授業はどうあるべきかを考えてしっかり変えていきたい。この3つの取り組みはワンセットなのです。 今は多様性が認められる時代。学力や偏差値だけで学校を選ぶのは時代に合わなくなっていますから、特色ある学校が必要でしょう。これまでは地域の人口減の度合いに応じて統廃合が進められてきましたが、簡単に学校をなくすのではなく、「海辺の学校に寮を作る」「インターナショナルスクールにしてみる」など、知恵を出し合って存続する方向に持っていけたらと思っています。 例えばN高の校舎が八戸市や弘前市などにできたら、今のままの高校では勝てなくなると思うんです。新しい学校のあり方が出てきている現状からも、公立高校は多様性を認める方向にシフトし、今ある校舎を活用して国内外から人を呼び込む仕組みをどう作るかなど、前向きな議論を始めたいと思っています。 ──最後に、教員の方々にメッセージをお願いします。 学校には高い価値があります。オンラインにはないその価値は、子どもたちが同じ空間でお互いに学び合えること。それを支えているのが先生方の専門性です。「こどもまんなか青森」も先生方の存在がなければ実現不可能。改革も上からの押し付けではなくて、先生方の内発的な意思に寄り添うものにしたいです。 教育現場は多忙で、最初はなかなか「こうしたい」と考える余裕がないかもしれませんが、まずは全国にある好事例をやってみることで、先生方の内発的な意思を先取りした教育に変えていけるのではないかと思っています。 私たちは現場の先生の応援団です。子どもたちのために一緒に頑張っていきましょう。 (文:吉田渓、写真:青森県総合政策課提供)
東洋経済education × ICT編集部