センバツ2024 2回戦 阿南光 地区王者を連続撃破 “ミラクル超え”初の8強進出 /徳島
阪神甲子園球場(兵庫県西宮市)で開かれている第96回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)第6日の25日、阿南光(徳島)は2回戦で熊本国府に3―0で勝ち、春夏を通じて初のベスト8進出を果たした。徳島勢の8強入りは第84回大会(2012年)の鳴門以来で12年ぶり。1回戦で昨秋の東海大会王者を破ったのに続いて九州大会覇者も撃破し、三塁側スタンドは沸き立った。阿南光は第9日第1試合(28日午前8時半開始予定)で昨秋の明治神宮大会優勝の星稜(石川)と対戦する。【来住哲司、武市智菜実】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 1回戦に続き、阿南光打線が先制劇を見せた。一回、1番・福嶋稟之介が四球を選ぶと、次打者の空振り三振の際に二盗。すかさず3番・福田修盛が先制の右越え適時三塁打を放った。三塁側アルプス席で福田の父、章さん(49)は「よかった。先制点を取って、(チームを)流れに乗せてくれた。1回戦では力んでいたが、今日はリラックスしている」と評した。 2死後に5番・吉岡暖(はる)の投飛が落球を誘い、この回2点。1回戦と同様に一回に2点を先取し、試合の主導権を握った。 四回には先頭の吉岡の左前打を足場に2死二塁とし、8番・戸田大貴が右越えの適時二塁打。1回戦では2死球で出塁したものの3打数無安打だっただけに、戸田の母、さゆりさん(48)は「やっと打ってくれてよかった」とホッとした様子だ。 エース右腕・吉岡は立ち上がりに1死二塁のピンチを連続三振で切り抜けると、その後は本来の投球。六、七回には先頭打者に安打を許したものの次打者を投ゴロ併殺に仕留めた。吉岡の父で硬式野球部保護者会長の直人さん(46)は「併殺二つが大きかった。打線が先制してくれ、投げやすかったと思う」と指摘した。終わってみれば、吉岡は5安打に抑えて14奪三振無四球完封を飾った。 阿南光は前身の新野として初出場した32年前、横浜(神奈川)を降して「ミラクル新野」とたたえられた。当時は2回戦で敗れたが、これで昨秋の地区大会優勝校を連破して8強入り。「ミラクル超え」を果たした。 ◇32年前の父超え ○…先制三塁打を放った阿南光の3番・福田修盛は「変化球を狙えと監督に指示されていた」といい、初球のスライダーを引っ張って右翼手の頭上を襲った。昨秋はチーム最高の打率4割7分4厘をマーク。今大会では1、2回戦とも1安打ずつで本領発揮とはいっていないが、2試合連続で先制点を挙げて勝負強さを示した。父の章さんは32年前の初出場時の遊撃手。2回戦敗退だった父を超える8強入りに「率直にうれしい」と顔をほころばせた。