「お菓子の中に虫が…」報告後の対応でチロルチョコとシャトレーゼで分かれた明暗
■シャトレーゼの対応の3つの失敗 一方のシャトレーゼの問題は、苦情への初動対応の遅さと不透明さにありました。消費者から連絡を受けて、「2週間の調査期間を設ける」と伝えたところまでは悪くありません。しかし、その後の対応に失敗しました。 失敗の主な内容は①2週間経っても連絡をしなかったこと②消費者が再度問い合わせたにもかかわらず、「責任者に連絡が取れないといって対応しようとしなかった」とされたこと③マスコミが報道するまで結果として連絡が取れなかったことから、「報道されると一転して内容を公表し、お詫びをした」と取られたこと――です。
①は消費者から「約束を守らない企業」だとみなされるリスクがあります。②については「消費者を大切にせず、どんな状況かも教えない企業」、③は「問い合わせをした人の影響力があるかないかで対応を変え、情報を迅速に公開しない不透明な企業」だと思われる可能性があります。 シャトレーゼは、もともと手頃な価格帯で美味しい商品を出すことで評価、信頼されてきた老舗洋菓子チェーンです。この件1つで企業全体が判断されることはないと思いますが、今回の対応はいずれも企業イメージやブランド、信頼を大きく損ねるリスクがあります。
初動に失敗したシャトレーゼですが、事後の対応はむしろ良い事例と言えます。自らの落ち度をきちんと認め、消費者に謝罪。事故の再発防止とともに迅速に対応できるよう連絡体制なども見直したそうです。 また、今回のような問題が発生した際、取材を拒否する企業も多い中、同社は真摯かつ丁寧に取材を受けようと努めていました。将来、同様の問題が発生しても、同社は今回の反省をいかせると思えます。 ■異物混入の苦情、都内だけで500件超
東京都によると、2022年度の都内の異物混入による苦情件数は565件にのぼりました。担当者は「企業には再発防止策などを指導しているが、ゼロにするのは難しい」(食品監視課)といいます。 メーカーが規定に基づいて衛生管理を徹底するのは当然ですが、どんなに対策を講じても100%異物が混入しないとの保証はありません。SNSが普及した現在では、意図的に異物を入れて「虫が入っていた」などと言う悪質な投稿をする人が出てくることも考えられます。