野球人生を懸ける背水の1年へ 「まさに、岐路」昨季2登板の阪神33歳左腕の決意【2025復活にかける男】
滴る汗を拭いながら懸命に走る若虎の中に、33歳左腕の姿もあった。残暑厳しい昨年9月の兵庫・鳴尾浜の2軍施設。1軍が巨人との優勝争いを演じているさなか、岩貞祐太投手は悔しさを押し殺しながらポール間を何度も何度も往復していた。左肘に違和感を抱え、気づけばシーズン最終盤。歯がゆさ、情けなさ、申し訳なさ…。どんな時も明るく前向きな男に、悲壮感が漂っていた。 リーグ優勝、日本一を達成した23年は50試合に登板して1勝0敗、24ホールド、防御率2・70。だが、昨季は一転してわずか2試合で0勝1敗、防御率5・40に終わった。3年契約最終年となる今季に向け、現状維持の年俸1億円でサインした当日の記者会見。偽りのない今の胸中を激白した。 「来年、34(歳)というところで。安定した成績をうまくつかめれば、そういうシーズンを多く過ごせるとは思いますが…。そうじゃなかった場合には、ユニホームを着続けることは不可能だと思う。まさに、岐路だと思いますね。来年やらなければ、キャリアとして終わりを迎えることになると思うので、危機感を持ちながらしっかり準備して取り組んでいきたいなと思います」 左肘の状態は今季に向けて「支障のないような段階に入ってきている」という。「時間をかけて準備、トレーニング、ケアとやっていけば、まだまだ全然いけるなと思っています」と復活の自信もある。1月は同僚の伊藤将と合同自主トレを行う予定。「自分のやってきた準備、練習に対して自信を持って、後悔がないというか『やり切った日』を重ねていきたいと思います」と不退転の決意で、野球人生を懸けた勝負の1年に挑む。(阪神担当・中野 雄太) ◆岩貞 祐太(いわさだ・ゆうた)1991年9月5日、熊本県生まれ。33歳。必由館高、横浜商大を経て13年ドラフト1位で阪神に入団。3年目の16年に初の2ケタ10勝を挙げる。本格的に中継ぎ転向した21年から、3年連続で40試合以上に登板した。183センチ、87キロ。左投左打。
報知新聞社