反旗を翻す者、責任を回避する者…機務司令部解体事件のトラウマにとらわれた戒厳軍指揮官たち
12・3非常戒厳発動当時、指揮ラインにいた軍当局者らの証言を総合すると、今回の戒厳はこのようなトラウマ性の抵抗故に失敗したという側面が大きい-という分析が出ている。戒厳当時、韓国国会に投入された陸軍特殊戦司令部隷下707特殊任務団のキム・ヒョンテ団長(陸軍大領=大佐に相当)は、記者会見で「10時にヘリのパイロットに退勤の指示を出し、ヘリが遅くなった」「それで、(隊員らは)11時前に集結したが、一番早いヘリは11時20分過ぎにやって来た」と語った。さらに「人員がみんな集まった状態でTMAP(地図アプリ)を動かして、国会がどういうふうになっているのか構造を確認した」「TMAPをキャプチャーしてタッチペンで建物を表示した」「部隊員ごとに無線機はあったが、もみ合いをする状況でおよそ100人に全部伝わるかどうかは疑問だった」「(国会の正門を破るため)窓の所で集合と言ったが、集まったのはおよそ30人で、残りの50-60人はうまく交信できなかった」とも説明した。部隊員らを対象にした緻密な準備もなく、戒厳に対する共感も低く、命令システムの一糸乱れぬ作動は実現できなかった-という意味だ。 問題は、このような政治的命令と指示が繰り返される中で、韓国軍は実際の安保危機においてきちんと作戦を遂行できないかもしれない、という懸念が強まったことだ。韓国軍関係者は「予想外の戒厳宣布があり、命令があったからこれを履行しようとしたが、出退勤問題のせいで履行が遅くなった…というのは目まいがするような話」と語った。キム・ヒョンテ707団長もまた「部隊員を死地に追いやり、戦闘でこんな無能な命令を下したら、全員死亡しただろう」と語った。 戒厳関連の指揮官クラスの人物による、いわゆる「良心告白」が、保身のためだという誤解を受けかねないという指摘も出ている。軍人らが公式な席を通してではなく、ユーチューブの配信や記者会見で自分の立場を公にするのは、原則的には軍人服務基本法違反になることもあり得る。郭種根(クァク・ジョングン)前特殊戦司令官やキム・ヒョンテ707特任団長は、進歩(革新)系最大野党「共に民主党」の勧誘を受けて公益通報の手続きを取ったという。 梁昇植(ヤン・スンシク)記者、ヤン・ジホ記者