RIZINのパッキャオ契約はとんだ肩透かしだったのか?
総合格闘技イベント「RIZIN」の榊原信行実行委員長が9日、都内で記者会見を開き、ボクシングの6階級王者、マニー・パッキャオ(40、フィリピン)と結んだ契約内容について明らかにした。契約内容にはパッキャオ自身のファイトは含まれておらずプロモーション協力の契約が結ばれたもので、今回はパッキャオが推薦するWBCムエタイフェザー級フィリピン王者のフリッツ・ビアグタン(23、フィリピン)が、21日に横浜アリーナで行われる「RIZIN.15」でキックボクシングRISEの世界王者、那須川天心(20、TARGET/Cygames)とキックボクシングルールで戦うことになった。パッキャオは、前日計量から来日して秘蔵っ子の戦いをサポートする。とんだ肩透かしとなったが、RIZINは、今後、パッキャオのRIZIN参戦を粘り強く交渉していく考えで対戦候補として那須川ではなくライト級の“火の玉ボーイ”五味隆典(40)の名前を挙げた。実現へのハードルは高いが、RIZINは緊急来日したフロイド・メイウェザー・ジュニア(42、米国)の再参戦構想も練っており、パッキャオ、メイウェザーといったボクシング界の超ビッグネームがRIZINのリングでリンクしそうだ。
「パッキャオはRIZINでファイトしない」
始まりは1本の意味深ツイートだった。 8日、榊原実行委員長は自身のツイッターで、パッキャオが契約書にサインしている写真を載せて「メイウェザーに続き、RIZIN.15ではこの男と新たな仕掛けを行います」と発信。ロイター通信が、これをニュースとして報道、世界中を憶測と賛否両論が衝撃をもって駆け巡った。渦中の榊原実行委員長が帰国と同時に会見するとあって普段は格闘技を取り扱わない共同通信など、狭い事務所の会見場に入りきれないほどメディアが殺到したが、明らかになった契約内容は、格闘技ファンにとって肩透かしに終わるものだった。 「いつも以上に集まっていただき反響が大きくてちょっと驚いている」と切り出した榊原実行委員長は、「一部の人たちはパッキャオが試合をするんじゃないか、と思ったかもしれないが、そんなことはない。参戦するということではない。誤解がないように言うがファイト契約はない。パッキャオが推薦する選手がRIZINに上がる。パッキャオには近い将来、戦ってもらいたい」と契約内容を明かした。 パッキャオとの契約はプロモーション協力契約であり試合をするという契約は含まれていないのだ。パッキャオは秘蔵っ子を刺客として送り込んできただけだった。しかもフリッツのボクシング公式記録ボクシングレック記載の試合経験は1試合しかなく、キック、総合のファイター。RIZINが配った資料によると父親がキックボクサーとして名を馳せた人物で、「アグレッシブなファイトを身上としフィリピン国内の格闘技ファンから圧倒的な人気を誇っている」という。 会見に同席した那須川は「フィリピンには無茶苦茶強い選手が多い。侮れない。しっかりと気合を入れないと勝てない。しっかりと倒してRIZINに帰ってきたところを見せたい。ボクシングもやっているのは自分と一緒。パンチで得意ならこっちもパンチで倒してやる」と、抱負を語った。 榊原実行委員長によると、そもそもパッキャオとの橋渡しをしたのはメイウェザー。早くから交渉が進められておりパッキャオは1月にエイドリアン・ブローナー(米国)とWBA世界ウェルター級王座の防衛戦を行い判定で圧勝したが、メイウェザーが、この試合のプロモートに絡んでおりパッキャオのセコンドに天心が付く話まであったという。 この日、パッキャオは、VTRで「フィリピンの選手は、みなハングリーでとてもタフだ。天心のファイティングスピリットには敬意を表する。アジア人では天心と私しかメイウェザーと向き合ったことはない。私は、この試合を見届けに横浜アリーナに行く。そしていつかRIZINのリングで戦えたらいいと思っている」というメッセージを寄せた。