RIZINのパッキャオ契約はとんだ肩透かしだったのか?
だが、パッキャオは、現役のWBA同級王者であり、現在、IBF同級王者のエロール・スペンス・ジュニア(米国)、WBA世界同級スーパー王者のキース・サーマン(米国)との統一戦交渉をスタートしており、スペンスとマイキー・ガルシア(米国)との防衛戦には会場にも赴いた。ただパッキャオの最大のターゲットはビッグマネーが見込めるメイウェザーとの4年ぶりの再戦だとも言われている。いずれにしろ現実問題として、いくらエキシビションでも現役のボクシング王者のまま、パッキャオがRIZINのリングに上がるのには無理がある。 そうなるとWBAもベルト剥奪を持ち掛ける可能性さえある。 そのあたりの事情も踏まえて榊原実行委員長は、パッキャオvsメイウェザーの日本でのエキシビションマッチ構想まで口にした。 「エキシビションで2人がやるのはゼロではない。やるなら日本で。5、6ラウンドできたら面白い」 この日、緊急会見したメイウェザーは、パッキャオとの再戦については否定的だった。ならば“エキシビションマッチでどうだ”というわけである。 21日のRIZIN.15には、メイウェザーが来場する可能性が高く、RIZINのリングに世界のボクシング界を今もリードする両雄が揃って挨拶に立つという夢のツーショットが実現するのかもしれない。 「世界のいろんなトップファイターから話がある。RIZINは、既成概念にとらわれずタブーと思われることに積極的に挑んでいきたい」 メイウェザーとボクシングルールで戦った元UFC2階級王者のコナー・マクレガーはツイッターで参戦をほのめかしたが、水面下で具体的な交渉もあったという。マクレガーは、その後、引退、引退撤回でひと騒動を起こしたが、「詳細は言えないが、コナーサイドともコミュニケーションを取っている。あれだけ突き抜けると彼も次の一手に悩む。彼と組めるチャンスがあれば面白い」と榊原実行委員長。またメイウェザーがボクシングのWBA世界スーパーフェザー級スーパー王者、ガーボンタ・デービス(24、米国)を天心の刺客として送り込む考えを示しており、それについても「凄くいい選手。7月のRIZINに送り込んでくるかも」という。 「本当にやれんのか?」と疑問視されていたメイウェザー戦を実現しているだけあってRIZINには、パッキャオ参戦計画を単なる「希望的観測」で片づけることのできないファイトマネーの支払い能力を含めたパワーがある。榊原実行委員長は、計量失敗問題で騒動となったRENAのカード発表でのSNSの「いいね」は、2、300だったが、パッキャオとの契約ツイートに対しては4000を超える「いいね」があったことを引き合いに出して「今の格闘技界の中でやっていることに魅力はない。世の中は違うものを求めている」と、RIZINの向かっていく方向性を明らかにした。 ボクシング界にしてみれば、ビッグネームを引きずり出されてひっかき回されるのはいい迷惑だろうが、格闘技界という大きな枠組みでRIZINはメイウェザーに続きパッキャオを巻き込んで、さらなるムーブメントを起こそうとしている。榊原実行委員長が抱く「東京ドームでの格闘祭り」もまんざら誇大妄想ではないのかもしれない。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)