都立調布南、延長戦の末に都立鷺宮を退け2次予選進出 調布南・山田和希監督が説くサッカーの本質
第103回全国高校サッカー選手権東京予選1次予選ブロック決勝が9月14日、都内各会場で行われた。大田区にある森ケ崎公園で都立調布南と都立鷺宮が対戦。 【フォトギャラリー】 都立鷺宮 vs 都立調布南 都内各会場で行われた。大田区にある森ケ崎公園で都立調布南と都立鷺宮が対戦。 試合は前後半スコアレスドローで終了し、延長戦へ。迎えた延長前半8分、途中出場のDF4土田悠真(3年)の右サイドからのクロスをゴール中央FW11竹島勇樹(3年)がシュート。ポストに当たったこぼれ球をMF10村石充生(3年)が押し込み、先制。これが決勝点となり、調布南が鷺宮を振りきり、2次予選進出を決めた。 「鷺宮さんは粘り強くてタフで頑張る良いチーム。0-0の展開が長く続く、あるいはセットプレーで失点して0-1の展開を想定してました」と調布南・山田和希監督。 ある程度、織り込み済みの展開となったが、紙一重で勝てたのは運動量と集中力。 「うちはチャレンジャーなのでタフにしっかり走ろうと。球際や切り替えで集中力を保てたことが最後に勝てた要因です」と明かした指揮官だが、おそらくやきもきするゲームだったはず。 前後半80分、延長戦前後半20分、あわせて約100分間を振り返ると、気温33℃のもと、カウンターの応酬となる忙しい展開のなか、6:4で調布南がやや優勢。それなりにチャンスは作ったが、ゴール前へのラストパス、シュートの精度に欠くばかり。また普段は土のグラウンドのせいか、人工芝のピッチに足を取られ、決定機をふいにするシーンも。さらに後半終盤、鷺宮がFW19 遠藤ブライアン菖(2年)を前線に投入。長身を生かしたポストプレーを起点にかなり押し込められ、危ないシーンはあったが、なんとか耐えきった。 決勝点を挙げたMF10村石は勝因を「強い風のなか(※南風5メートル)、難しい展開になりましたが、DF3塩田くん(塩田英司・3年)とDF16黒田(黒田純矢・1年)を中心に身体を張った守備をしてくれました。2人だけでなく全員で守備できたからこそつながりました」と守備面をあげると、DF5原瞬(3年)「ハードワークです」とキッパリ。また同様にMF6高橋佑心(3年)は「(チームは)運動量、ハードワークでみんな頑張れる集団。キツい時間があり、ピンチもたくさんありましたが、最後まで声を出して、ハードワークできました」と語った。そのMF6 高橋は試合中、4、5回足がつりそうになったそうだが、「一瞬でも気を抜いたらやられてしまうのが選手権。気持ちだけは切らさず。もっと前線にはボールを収めてほしかったですが、でもポジティブに考えて、みんなで抑えたという感じです」と胸を張った。 守備陣の頑張り、ハードワーク、集中力、豊富な運動量もさることながら、印象に残ったのは山田監督の言葉。 「ゴールに向かうこと。そして全力で守ること。このサッカーの本質は決して忘れないように」。ハーフタイムで、そして飲水タイムの度に繰り返しイレブンに伝えたこの言葉。当たり前で単純なようで深くて難しい。このサッカーの本質をイレブンが貫いたからこその薄氷の勝利を手にしたといえる。 (文・写真=佐藤亮太)