「海軍」視点から見る「プーチンの戦争」の不合理と脆さ
南東部とキエフ方面で「まったく異なる戦い方」
今回のロシアによるウクライナ侵略について筆者は、軍事的合理性を欠いた、専ら政治的な動機だけで始められた戦争とみている。その証拠に、開戦に先立つ今年1月31日、退役軍人でつくる「全ロシア将校の会」はHPで、ウクライナ侵攻を思いとどまり、ウラジーミル・プーチン(以後呼び捨てにする)退陣を強く求める 声明を発表 した。会長のレオニード・イワショフ退役大将(78歳)は、元々NATOの東方拡大反対論者の保守派だが、「キエフを占領したら、何年も滞在する必要がある」「数万人の若いロシア兵士が死ぬ」とラジオでも語り、開戦したら泥沼化することを予想していた。現実にロシア軍は、開戦から約1カ月が経っても首都キエフを攻略すらできず、ロシアは国際的孤立に陥った。 陸上自衛隊西部方面総監を務めた小川清史元陸将によると、ロシア軍はウクライナ南東部とキエフ方面でまったく異なる戦い方をしているという。ロシア陸軍の動向に関する小川氏の解説は、非常に論理的なので、全体の戦況を概観するためにここで簡単に紹介したい。
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伊藤俊幸