英中銀の利下げはまだ先、市場の観測修正促す-グリーン委員
(ブルームバーグ): イングランド銀行(英中央銀行)金融政策委員会(MPC)のグリーン委員は、英国の利下げは「まだ先のこと」との見解を示し、急速な金利低下に対する市場の見方の修正を促した。
グリーン氏は11日付の英紙フィナンシャル・タイムズへの寄稿で、ここ数カ月でインフレの勢いが弱まったとはいえ、英国はまだインフレに対する勝利を宣言することはできないと警告した。
賃金上昇やサービスインフレなどの「指標がMPCの予測に沿って低下しているため、インフレが持続するリスクは後退している。しかし、インフレ率は他の先進国、特に米国よりも高いままだ」と指摘した。
投資家は、今年の英利下げ観測を後退させた。10日発表の米消費者物価指数(CPI)の大幅上昇にも反応し、市場が織り込む2024年の利下げ幅は45ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)となった。
9月が初回0.25ポイント利下げが完全に織り込まれている。
グリーン氏は、英国の金利に関する投資家の見方は「間違った方向」に動いているとし、英国は米国よりも大きな供給制約に直面していると警告。「私の見解では、英国の利下げもまだ先のことだ」と断じた。
英経済は生産性の見通しが悪化し、労働参加率がパンデミック前の水準を大きく下回るなど、供給面では依然として大きな制約を受けているとグリーン氏は指摘。
「英経済は、労働市場の逼迫(ひっぱく)とエネルギー価格による貿易ショックの二重苦に直面している。従って、インフレ持続の脅威は米国におけるよりも大きい。しかし、金利に関する市場の価格設定ははこれを反映していない」と説明した。
原題:BOE’s Greene Warns Against Early Interest Rate Cuts in UK (1)、BOE’s Greene Says UK Rate Cuts Should Still Be a Way Off: FT (抜粋)
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Tom Rees