【保存版・医療情報との付き合い方】宣伝文句に踊らされないで!医師が解説「健康情報の本当のところ」
巷に溢れる医療情報の中には、高い有効性をうたいながらも実際には効果がないものや、偏っているもの、科学的根拠に欠けたものが混じっていることもあります。今回最終回を迎えることとなりました連載「医者のいらないラジオ」では、覚えておきたい医療情報との付き合い方を、5つのポイントに分けて山田悠史先生に解説いただきました。 【NYから配信中】 健康・医療情報を無料でお届け!山田悠史「医者のいらないラジオ」
ポイント1 どんな情報を選ぶかも、自分の健康に影響する
編集:認知症からNMNサプリまで、連載「医者のいらないラジオ」では医療・健康に関する様々なテーマを取り扱ってきました。テーマは変わっても、解説いただいた内容には、繰り返し登場するいくつかの共通点があったと感じています。専門的な知識がない私にとって、正しい医療情報を見分けるのはとても難しいのですが、この連載を通じて、医療・健康ニュースを注意深く読む習慣ができました。 山田:現在のように情報が溢れる時代には、「医療情報をどう選ぶのか」ということが、食生活や運動習慣などと同じく、自身の健康を大きく規定する要因になっている可能性が高いと思います。 編集:間違った情報を信じて、正しい治療や適切な受診の機会を逃してしまう、というお話もよく聞きます。 山田:そうですね。こうした時代だからこそ、医療ニュースを理解する力も非常に大切で、医師としては、「正しい情報をどう得るか、どう見分ければいいか」ということをお伝えするのが非常に大切だと考えています。
ポイント2 不確かな状況を受け入れる
編集:「自律神経失調症」について解説いただいた際には、「不確かな状況を受け入れる」という考え方を学びました。 山田:そうですね。血液検査やいろいろな検査を受けたけれども原因を突き止められなかった、ということの裏返しで、症状はあるものの明らかな異常がないため説明する言葉がなく、「自律神経失調症」という言葉が使用されている可能性について解説しましたね。 「原因がわからない場合がある」ということを、医師はもちろん患者さんご自身もご理解いただく必要がある、というのも大切なポイントとしてお伝えしました。 編集:「自律神経失調症」という言葉が実際に医療現場で使われている言葉と乖離していたり、実際の自律神経障害と異なる症状をイメージしていたりと、かなり曖昧な認識だったことがわかりました。ただ、原因不明の体調不良があると、やはり不安になるので、インターネットや書籍で調べてそれらしい病名がわかると、少し安心するんですよね。 山田:不確実性は、不安なものです。でも、不確実性を受け入れられるかどうかは、医師の能力としても非常に大切なことなんですよ。 たとえば、お腹が痛いという主訴で入院になった患者さんのうち、3~4割程度は原因が明らかにならなかったとする報告もあります。病名がわかると安心しますが、その安心は、「偽物の安心」である可能性もありますよね。特に医療の現場では、不確実な方が健全である、ということもたくさんあると思います。