オルカンとS&P500には「宿命的な課題」がある…新NISAの大人気商品が抱える「高株価&大型株偏重」という懸念
■資産運用計画の設計図を描くことが必要 さて、ようやく結論言うけど、インデックス投資を考えるにあたっては、今のインドの例で話したようなチューニング、補正が必要なんじゃないだろうか。 つまりインデックス投資をベース(基盤)にしつつ、自らの方針による補正をして資産運用計画の設計図を描くことが必要なんじゃないかな。 インデックス投資の問題点、というか構造上の避けられない盲点、現在特に強まっている懸念についてネガティブな話ばかりをしてきたけど、じゃあそれに代わる賢いやり方があるのかというと、やっぱりないんだよね。 今のインデックス投資ブームとそれが引き起こしているかもしれない課題と心配は感じつつも、資産運用計画のベースとして、インデックス投資が最も「無難」であることは変わらない。 ベースとして選ぶ指数は、オール・カントリーでもS&P500でもどっちでもいいと思う。ただ、GAFAM比率を下げておくという意味だけでいえば、オール・カントリーの方が適しているかもね。 その上で、どういう方針でチューニングしていくか。残念ながら唯一の正解はなくて、自分で考えないと絶対にダメ。2つの考え方だけ整理しておきたいと思う。 ■インデックスの盲点を補正する「2つのアイデア」 ひとつの考え方は今インドの例で話したような、国・地域の観点からの補正。オール・カントリーのあの時点の月次報告書でインドは1.6%だったけど、日本だってわずか5.3%なんだよね。 日本株の今後について正直僕はよくわからないけど、近年、日本株の投資魅力が全体として高まっているとは言われている。ただ、その恩恵にあずかるためには5.3%では明らかに足りない。 日本株の比率を増やす補正をすると、全体における為替リスクが減るのはいいね。だって、S&P500にしてもオール・カントリーにしても、もし現地で株価が2割上がっても為替が2割円高になっちゃったらチャラだからさ。投資信託の基準価額としては上がらない。日本株の比率が高くなればなるほど、その為替で振らされる割合が減るわけだ。 もうひとつの考え方は、前に話した「コンセプトファンド」による補正だと思う。 仮想敵としてのベンチマークを設けず、ただただ、将来の世の中がどう変わるかから逆算して今を見るっていう投資。つまり今はまだ時価総額が小さな企業の方にこそ注目する投資なので、まさにインデックス投資の真逆だよね。 インデックス投資の盲点を補正するには、いい組み合わせ相手だ。 ---------- 今福 啓之(いまふく・ひろゆき) 日興アセットマネジメントシニアマネージングディレクター 1990年、野村證券入社。支店営業、研修部、金融法人部を経て2000年にフィデリティ投信入社。2007年に日興アセットマネジメント入社。ピクテ投信(現ピクテ・ジャパン)執行役員を経て、2016年より再び日興アセットマネジメント。日本証券アナリスト協会検定会員。著書に『投資信託業界歴30年の父親が娘とその夫に伝える資産形成の本音の話』(星海社新書)がある。 ----------
日興アセットマネジメントシニアマネージングディレクター 今福 啓之